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ヤクルト芸術家、まさかのブレイク!?
真中新監督もながさわ画伯の毒牙に!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHirokazu Kobayashi/pia
posted2015/02/06 10:30
東京・新宿区で行なわれた個展会場にて、取材陣にポーズを求められるながさわ画伯。いつになく晴れやかな笑顔だ。
成瀬、大引につづいてながさわもドサクサで入団!?
今年の正月。何気なく開いた日刊スポーツ紙上に、ヤクルト・真中新監督の決意表明の記事と共にながさわの絵が大きく掲載されているのを見たときに、なんとも言えない感慨を得た。
ヤクルト80周年の今年。スワローズは成瀬、大引と球団史上最大ともいえる本気の補強を行なっているようだし、絵描きのながさわたかひろもドサクサで入団させてもらえるのではないか?
そんな淡い期待を乗せたまま1月9日から、ながさわ5年目の戦いの集大成の個展、東京ヤクルトスワローズ2014年の戦いを描いた「新・プロ野球画報~ながさわたかひろの逆襲~」がはじまった。
その初日、会場となるギャラリーeitoeikoでは、ながさわたかひろのメディア向けのカコミ取材が行われたことも驚いたが、輪の中心で質問を受けるながさわが纏うユニフォームにはもっと驚いた。
「23」――山田哲人。
これまで好んで着てきた一場や増渕のような才能があっても力を出し切れずもがき苦しんでいる選手とは違う。昨年大ブレイクを果たした、圧倒的な才能を神宮で輝かせるスター。どうしたというのだ、ながさわ。4年前なんてアストロ球団だったじゃないか、ながさわ。
これまでとは違う。ミルミル追い風が吹いてきた。
「成瀬はロッテ時代、上手く描けた選手なので描くのが楽しみです。期待しています!」
なんてチームの先輩のような軽口と共に、報道陣からのリクエストに応えてピッチングフォームまで披露するヤクルト芸術家。9日からはじまった個展も過去にないほどの盛況を見せ、大勢の人で賑わった。
会場では昨年12月に発売された著書「プロ野球画報」が飛ぶように売れているようで、サインを求められてはハニカミ笑顔で応える。
これまでとは明らかに違う。ミルミル追い風が吹いてきた。
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
何を言っているのですか、ブレイク? 全っ然ですよ。確かに、去年と比べて僕の活動は多くの人に認知され、大きく前進しました。個展会場に訪れるお客さんの数も増えましたし、ファンの方がグッズ会社に口を利いてくれたおかげでイラストがパネルとして商品化もしました。そして、なにより本が出せたことが大きい。
いや、それもね、ひとえにいろんな人の支えのおかげですよ。でも、その一方で改めてヤクルトにはその気はないんだなって……関係も如何ともし難い状況になってきているのも事実です」