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マッド・マックスと豪華投手陣。
~田中将大の1.5倍の超大型契約~
posted2015/02/07 10:40
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
イチローがマーリンズと契約した時期にほぼ重なったため、日本ではあまり話題にならなかったが、FA市場最大の目玉マックス・シャーザーをナショナルズが獲得した。
当然、アメリカでは大騒ぎだった。総額2億1000万ドルの7年契約は、あのクレイトン・カーショーがドジャースと交わした7年総額2億1500万ドルの契約とほぼ同等だ。しかも支払い方法は、毎年1500万ドルずつを14年間。シャーザーは現在30歳だから、44歳になっても……。
身も蓋もない話をするようだが、これほどの条件が提示されることは大リーグでも珍しい。ジャスティン・ヴァーランダー(7年総額1億8000万ドル)、田中将大(7年総額1億5500万ドル)、ジョン・レスター(6年総額1億5500万ドル)と比べても、マッド・マックスことマックス・シャーザーの高評価がよくわかる。無理もない。過去3年間で55勝+723奪三振というデータは、パワーピッチャーのお手本といってよい。
ナショナルズの先発陣は、ものすごい陣容に。
金の話はほどほどにしておこう。それにしても、ナショナルズの先発投手陣はものすごい陣容になった。
シャーザー+ジョーダン・ジマーマン+スティーヴン・ストラスバーグ+ダグ・フィスター+ジオ・ゴンザレス+タナー・ローク。どの球団に行っても2番手以下に落ちない先発投手を6枚もそろえたのは、壮観としかいいようがない。グレッグ・マダックス+トム・グラヴィン+ジョン・スモルツ+スティーヴ・エイヴリーを擁した'90年代のブレーヴスと比べても、さほど遜色はないのではないか。あのときは、グラヴィンが'91年と'98年の2度、マダックスが'93~'95年の3度、スモルツが'96年に1度、ナ・リーグのサイ・ヤング賞を獲得した(マダックスは'92年のカブス時代にも獲得)。
ナショナルズの6人は年齢が近い。最年長のフィスターが'84年2月生まれで、最年少のストラスバーグが'88年7月生まれ。今季の開幕を迎えるときは、26歳から31歳までの働き盛りだ。彼ら6人の2014年シーズンの勝ち星合計は87勝。これがそっくり平行移動されるとは限らないが、ナ・リーグのペナントが射程圏内にあることはまず確実だ。