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智将マンチーニがインテルに復帰。
“緊縮体制”でも成績を残せるのか。
posted2014/11/28 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
サン・シーロへ、指揮官マンチーニが帰ってきた。
低迷に苦しむインテルは、チーム再建の切り札として、今も高い人気を誇る元カリスマ監督を呼び寄せた。
早くも救世主のように扱う周囲を「私は魔法の杖を持っていない」と牽制しつつ、「インテルはすぐに勝つ必要がある」と臨戦態勢を敷く。
マンチーニに、墜ちた名門再興の勝算はあるのか。
前任者マッツァーリは、11月14日に解任された。
代表戦によるリーグ戦中断を前に、彼の指導は迷走し、チームは完全に自信を失っていた。ホームのサン・シーロでさえ、監督や選手へブーイングが降り注いだ。
11節ベローナ戦で黒星同然の引き分けに終わると、マッツァーリの口から「前半はよかったのだが……雨も降ってきたし」と言い訳がましい言葉が漏れた。
言うに事欠いて、不甲斐ない試合を雨粒のせいにしようとした指揮官に、トヒル会長とインテリスタたちの愛想も尽きたのだった。
前回のマンチーニ政権は、インテルの黄金時代だった。
6年ぶりに復帰したマンチーニへの期待は高い。
'04年から4シーズン指揮を執った彼の第1次政権時代は、華々しいタイトル歴に彩られている。'05年から'08年にかけて達成したクラブ史上唯一のスクデット3連覇に加え、イタリア杯とイタリア・スーパー杯もそれぞれ2度ずつ制覇した。
英国に渡った後、'12年にはマンチェスター・Cの監督として、プレミアリーグも制した。昨季は、やはり危機的状況にあったガラタサライに途中登板し、CLグループリーグ突破を果たしている。実績は確かだ。
マンチーニは、偏執的戦術家でもないし、単純なモチベーターでもない。
10年前、ザッケローニの後任としてインテルの監督に就任したとき、彼は39歳の若手指導者だった。