セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
智将マンチーニがインテルに復帰。
“緊縮体制”でも成績を残せるのか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/11/28 10:40
マンチーニ体制の初陣となったミラノダービーでは、史上初の日本人対決も実現した。
無理に手懐けるのではなく、“セレクター”として。
現役時代には甘いマスクで人気を博したが、自らも個性派ストライカーだったマンチーニは、選手たちを無理に手懐けようとはしなかった。マンチーニは手持ちの戦力を組み合わせる“セレクター”としての手腕を磨き、試合ごとに対戦相手に合わせた最適解を導いていった。
当時のインテルは、掛け値なしに世界中の強豪クラブが恐れを抱くクラブだった。無頼の強者たちが、圧倒的なパワーとテクニックで、国内外の相手を捻じ伏せた。
'05年1月9日のサンプドリア戦は、今も語りぐさだ。
83分、サン・シーロへ乗り込んできたサンプドリアが、2-0となる追加点を挙げた。
少なくない数の観客が、もはや勝負ありと席を立った。帰りの渋滞を嫌って家路についた彼らは、スタジアムを出たところでつけた実況ラジオから、信じられない絶叫を耳にする。
「逆転! インテル逆転!!」
試合終了間際の87分、怪人FWマルティンスの1点目を皮切りに、インテルは突如反撃に転じる。4分後に重戦車ビエリが怒涛の2点目を決めると、もう勢いは止まらない。青と黒のアタッカーたちが、取り憑かれたように相手ゴールへ殺到した。
1点目のアシストも決めていた天才レフティ、FWレコバが3点目を叩き込み、6分間の大逆転ショーは劇的に完結した。マンチーニは、ベンチの前で両手を掲げて選手たちを讃えたのだった。
アンケートでは78%の圧倒的支持。
かつて栄光をもたらしたベビーフェイスの指揮官の復帰が発表されて以来、インテリスタたちは沸き立っている。
「マンチーニはインテル再建を託すのにベストな人選か」と問うた『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のアンケートでは、78%の圧倒的支持を得た。