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日本シリーズに必要な“継投力”。
阪神の「呉昇桓の前」はつながるか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/24 16:30
シーズンの防御率1.76、39セーブと圧倒的な成績を残した呉昇桓。その前を担う中継ぎ、セットアッパーの役目は重大だ。
日本シリーズの行方を左右する、阪神の呉昇桓。
いよいよ25日から始まる日本シリーズでも、この継投が一つのポイントになりそうだ。
クライマックスシリーズ(CS)を振り返ると、ソフトバンクはファイナルステージ6試合、阪神もファーストステージから6試合を戦い、完投した先発投手は一人もいない。両チームとも継投で勝ち上がってきているわけである。
シーズンからポストシーズンの戦いを通して見ると、打線の層の厚さはやはりソフトバンクに軍配が上がりそうである。となるとソフトバンク打線対阪神投手陣というのがこの日本シリーズの対決構図となり、中でもポイントとなるのが巨人とのCSファイナルステージでも圧倒的に機能した阪神のリリーフ陣だろう。
4連勝した巨人とのファイナルステージでは、日本シリーズでも先発を担う藤浪晋太郎、岩田稔、R・メッセンジャー、能見篤史の4投手が先発。その平均投球回数は6回だった。
阪神が継投で圧倒的に優位に立てたのは、一にも二にも絶対守護神・呉昇桓投手の存在があるからだった。
呉昇桓がマウンドに上がる形をいかに作れるか。
呉はCS全6試合に登板。特にファーストステージ第2戦では同点の9回から3イニングを投げ抜き、中2日でファイナル初戦から4連投。日本シリーズに王手をかけた第4戦でも6点リードの9回頭からマウンドに立っている。
おそらく和田豊監督としては「最後は呉で!」という思いだったはずだが、回の頭から投げさせたこの継投は疑問の残るところではあった。いくら日本シリーズまで、多少の間があくとは言っても9回2死から投げさせれば十分で、少しでも消耗を防ぐ配慮があっても良かったはずなのである。
呉も6点差という状況では気持ち的に多少緩むのも仕方ないところで、結果的に2本塁打を浴びることになった。それでも最後は阿部慎之助捕手、村田修一内野手という巨人の主力を力でねじ伏せて、シリーズ切符をその手でつかんでみせた。
この絶対守護神へどうつないで勝ちパターンを作っていくか。これが阪神にとってはシリーズ制覇のカギとなるのである。