セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「今のベストを出した上で負けた」
本田とミラン、熟成度でユーベに完敗。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/09/21 15:30
イタリア代表でもセンターバックを務めるキエッリーニと競り合う本田。試合後「対策を練られていた、と思います」とコメントした。
軽くあしらわれていた“エル・ニーニョ”トーレス。
セリエAデビューを果たした“エル・ニーニョ”は、最初の接触プレーでイタリア代表DFボヌッチにあっさり倒された。ファウルもとってもらえず、ボヌッチに「ほら、さっさと立てよ」と軽くあしらわれた。
何とか1点を取ろうと模索するインザーギ監督は、トーレスを1トップにした4-2-3-1を試した後、38分に本田を下げ、FWパッツィーニを入れた。
右のメネズは疲弊しきっていて、左のボナベントゥーラが孤立する4-2-4が機能するはずがない。彼らが後半に放ったシュートは、MFポーリによる65分の1本だけだった。
「1週間、2週間で解決できる問題ではない」
2試合終えた時点での勝ち点は同じでも、両チームの完成度には相当のちがいがあった。
指導者歴2年のインザーギが、トップチームの監督に就任して3カ月と少し。メネズを初め、新戦力が次々と加わり、スタメンの顔ぶれも戦術も大きく変わった。
対するユーベの新監督アッレグリが率いるチームには、何より王者としての3年間がある。
初秋の夜のサンシーロに、ミラニスタ7万人の深い溜息が漏れた。ミランは、0-1で大一番に敗れた。
「チームの習熟度の差が試合を分けた。すべてが1週間、2週間で解決できる問題ではない」
試合後、ミックスゾーンで立ち止まった本田は、すっきりした表情で語った。
「今のベストを出した上で負けたという認識。悔しいけれど、切り替えたい。とにかく今は、自分たちのやってきたことを継続してやっていくだけです」
言葉には迷いの色がなかった。ブッフォンの好セーブがなければ、本田のヘディングシュートはゴールラインを越えていた。
本田が見た王者との距離は、ほんの数十センチだった。