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80200人が目撃した香川真司の帰還。
変わらぬ愛とプレー、変わったものは? 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2014/09/14 15:30

80200人が目撃した香川真司の帰還。変わらぬ愛とプレー、変わったものは?<Number Web> photograph by AFLO

ドルトムント復帰初戦となったフライブルク戦でゴールを決め、試合前から続いていたファンの熱い声援に応えた香川真司。

全員が下がる相手にスペースを見つけられずにいたが。

 フライブルク戦の序盤のプレーの意図について、香川はこう分析する。

「基本的には、前線の『間』で、我慢して、意識的に下がらずにプレーしていました。ただスペースがない分、なかなかボールも回ってこなかったから……」

 4バックでこの試合に臨んでいたフライブルクは、守備時には全員が自陣に引き、サイドのMFもドルトムントの選手についていくため、DFラインに6人が並ぶような場面も少なくなかった。簡単にスペースを与えてはくれない。

 また、ドルトムントのダブルボランチに入ったのはケールとヨイッチで、特長はボールを奪う能力であり、ボールを縦に運ぶ能力はあるものの、ゲームの組み立てが得意なタイプではない。そのため、引いてきた相手を崩そうとするなかで、パスミスからボールを奪われ、フライブルクにカウンターを許す場面も目立っていた。

香川が組立てに参加したことで、流れが変わる。

 香川はもちろん、ゴールを求められている。だが、攻撃が上手く組み立てられなければ、前線に残っていてもチャンスは得られない。

 前半33分にはこの試合でははじめて、センターバックの前まで下がってボールを受ける。

「監督も、『(中盤の低い位置まで)降りてもいい』と言っていましたし、ちょっとリズムを作るためには必要だったのかなと思いました」

 そう香川は振り返る。

 すると、その1分後だった。左サイドの少し下がった位置に顔を出すと、スボティッチからのパスを受けた左サイドバックのドゥルムが香川にパスを送る。そして香川は相手マーカーをいなしつつ少しためてから、右足のアウトサイドを使って左サイドの裏のスペースにパスを送る。

 これに反応したのがグロースクロイツだった。ボールを受けると、スピードを落とさずにゴールライン手前まで侵入し、ダイレクトでクロスを入れる。これに反応したアドリアン・ラモスがニアサイドであわせて、ドルトムントに待望の先制点が生まれたのだ。

 ホームで先制点を決めたことで、チームは落ち着きを手にする。香川も積極的に組み立てに顔を出して、チームの攻撃が上手く回り始める。リズムが生まれるようになったのだ。

【次ページ】 前回在籍時にも、香川のスルーパスは輝いていた。

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