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80200人が目撃した香川真司の帰還。
変わらぬ愛とプレー、変わったものは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/09/14 15:30
ドルトムント復帰初戦となったフライブルク戦でゴールを決め、試合前から続いていたファンの熱い声援に応えた香川真司。
変わらぬ貢献を見せた香川が見せる、変わった部分。
前半の2つのゴールにより、後半はそれほど動きのない展開となり、両チームが1点ずつ取り合って3-1で終了した。
香川は右足の太ももの裏をつったことで後半19分にベンチに下がった。
「もっとフィットネスを上げていかなきゃいけない」と香川は語っている。とはいえ、かつてはブンデスリーガで1試合あたりの平均走行距離でトップに立ったこともある選手だ。運動量とそれを可能にするコンディショニングについてはそれほど心配はいらないだろう。
この試合の感想を求められた香川が最初に口にしたのも、個人のゴールではなく、チームがつかんだ結果だった。
「結果を残せたことは良かったけど、チームが勝てたことが何より大事だったので」
香川は2シーズンにわたりドルトムントを離れていたが、スタジアムには当時と変わらない香川への愛情であふれていた。そして、香川自身も2つのゴールを演出して、以前と変わらずにチームに貢献できることを証明してみせた。
これから香川が見せていくのは、以前とは変わったところだ。それは果たして、チームが苦しい時に独力でゴールを決めることなのか、ゴール数やアシストの数なのか――
香川に変わらぬ愛を注ぐファンを、幸せにする。
この試合の3日後に控えているのは、CLの初戦、アーセナルとのホームゲームだ。奇しくも香川がいた3年前と同じ相手と、同じタイミングで対戦することになる。フライブルク戦で交代を余儀なくされた香川は、アーセナル戦の出場を望むのか問われると、間髪入れずにこう答えた。
「もちろん、そのつもりで頑張りますよ!」
香川はドルトムントの一員として1シーズンだけCLに参戦したが、このときはグループリーグ最下位に終わった。
ブンデスリーガだけではなく、世界最高峰の大会でも活躍できるような選手になること。それもまた、香川は変わったと証明するチャンスである。そして、もちろん、その変化は、香川に変わらぬ愛を注ぐファンを今まで以上に幸せにするものなのだ。