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胸躍るカードと超高校級選手たち。
今夏の甲子園も初戦から熱い!
posted2014/08/08 10:40
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
8月9日に開幕する夏の甲子園、その初戦の組み合わせが決まった。地方大会で有名・人気校が敗退しているものの、今年も初戦から注目カードが多い、というのが素直な感想だ。初日の第1試合では選抜優勝校の龍谷大平安と関東の強豪、春日部共栄が早くも激突する。
龍谷大平安は京都大会の優勝を決めた瞬間、歓喜の輪がなかった。「自分たちのプレーができなかったから」というのがその理由である。私が見た京都大会準決勝、東山戦は2失点に抑えたものの2つのエラーがあり、1番徳本健太朗(3年・外野手・右投左打)などは第2打席で3バント失敗(三振)、第3打席でバントがファーストフライになるというチャンスメーカーらしからぬ失態を演じている。勝利を手放しで喜べないのは当然だが、大会間近になって原田英彦監督の口から「春夏連覇」という言葉が出てくるようになったのは復調の兆しと見ていい。
対する春日部共栄はバッテリーが機能した。埼玉大会は1回戦で花咲徳栄、3回戦で浦和学院、聖望学園が敗退する中、5回戦から準決勝まで1、2点差の僅少差ゲームをものにし、決勝の市川越戦は8回裏に打者一巡の猛攻で6点奪って逆転、流れに乗った。地力では龍谷大平安だが、地方大会の戦い方を見る限り、春日部共栄に勢いがある。
2日目には、九州の豪腕対北信越のスラッガーが実現。
2日目の第3試合、大分と日本文理の対決は、九州の剛腕対北信越のスラッガーという図式で見たい。九州の剛腕とは春の九州大会でストレートが150kmを計測した佐野皓大(こうだい)(3年・右投右打)、北信越のスラッガーとは昨年秋の明治神宮大会決勝で2本のホームランをかっ飛ばした飯塚悟史(3年・右投左打)のことだ。日本文理は飯塚以外にも新潟大会決勝で逆転サヨナラ3ランを放った小太刀緒飛(こだち おとわ)(3年・内野手・左投左打)など好打者が揃い、チーム打率.372は参加校中14番目と上位。この分厚い日本文理の攻撃陣を大分・佐野が力で抑えられるか、見どころはこの一点にあると言っていい。