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夏の高校野球は「ドラマ性」で見よ!
アンジャッシュ渡部建注目の7選手。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/07/15 10:30

夏の高校野球は「ドラマ性」で見よ!アンジャッシュ渡部建注目の7選手。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

左右両投げの所沢商・増田一樹投手。周囲は左を評価しているが、本人は「右の方が速い球を投げられるんで気持ちがいい」という。

絶対に甲子園でもう一度見たい投手。

 そして、僕が絶対に甲子園でもう一度観たい投手が豊川(愛知)の田中空良君です。

 センバツ初戦で優勝候補の日本文理・飯塚君との投げ合いを制し、チームをベスト4に導きました。マックス145kmのストレートも魅力ですが、何より惚れ込んだのが投げっぷりの良さ。どんな場面でも強気で押していくあの姿勢……僕はもう、彼の大ファンになっちゃいました!

 センバツで股関節を痛めたこともあって、春季大会の登板は控えたそうですが、それだけに夏はしっかりとコンディションを合わせてくれるはず。再び甲子園のマウンドで躍動してくれるのを楽しみにしています。

なんと左右投げの“二投流”、増田一樹君。

 投手編の最後に、異色の選手を紹介します。

 所沢商(埼玉)の増田一樹君。スポーツ新聞などで大きく取り上げられていたのでご存じの方は多いかと思いますが、なんと! 彼は左右投げの“二投流”なんです。

 もともとは右投げだったらしいんですが、小学校時代に肘を故障。その間に努力を重ねて左で投げられるようになり、怪我が完治した去年の冬あたりから右でも投球練習を再開しました。そのことで、夢のスイッチ投法を実現できるようになったそうなんです。

 最速は右が138km、左が130km。当然、グローブも両投げ用の特注品。まるでドカベンのわびすけ(木下次郎)じゃないですか! 現実の世界にも彼のような投手が出てきただけでもロマンがありますよね。

 でも実際は、マンガの世界のように1球ごとに投げる手を変えられるわけではなく、ひとりの打者をアウトにしないと変更できないとか規則があるようで残念です……。

 それでも、彼の起用法は野球ファンを楽しませてくれるはず。

 ある日の練習試合でのことなんですが、左で打たれてベンチに下がったと思ったら、右用のグラブをはめてグラウンドに戻ってきた。「右で投げるのかな?」と思いきや、増田君はそのままレフトへ……。色んな起用法があるもんだなぁ、と嬉しくなりました。

 彼の出現は、野球少年たちにも夢を与えると思うんです。

 怪我などによって利き腕で投げられなくなっても、努力次第で逆の腕でも再生できる。それを証明してみせた増田君には、地方予選で大いに暴れてもらいたいですね。

【次ページ】 プロも注目するスケールの大きなスラッガー。

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