プロも注目するスケールの大きなスラッガー。

　打者ではドラマ性はもちろん、スケールの大きな選手にも惹かれてしまいます。

　僕が観てきたなかで、2年生から「すごいなぁ」と感じていたのが、常葉菊川（静岡）の左のスラッガー・桑原樹君です。

　去年のセンバツ初戦の春江工戦でバックスクリーンに叩き込み、夏も有田工戦で右中間に豪快なアーチを披露。常葉菊川特有の、ややアッパー気味のスイングなんですが、バッティングがとにかく力強い！　プロのスカウトも当時から注目している逸材です。

　今年は本職のセカンドからショートにコンバートしたようなので、守備でもスケールの大きさを見せてもらいたいですね。

　そしてもうひとり、これは僕自身、「じっくり観てみたいな」と願ってやまない選手が、九州国際大付（福岡）の清水優心君です。

　強肩強打の捕手で、セカンドまでのスローイングも早い！　現時点で「ドラフト1位候補」に挙げられるなど、捕手のなかではこの夏1、2を争う実力者でしょう。

　何より、清水君が牽引するチームは、夏の大会を最後に勇退する若生正広監督が、「この代はいい」と彼らが1年生の時から手塩にかけて育ててきました。それだけに、選手は「監督に最後の花道を！」と強い想いを持って戦うでしょうし、清水君だって最高のパフォーマンスを披露してくれるはずです。

日本一“速い”野球選手が佐野日大に！

　最後に、打者編でも変わり種の選手をひとり紹介します。

　佐野日大（栃木）の五十幡亮汰君。彼は、U15の日本代表に選ばれるほど野球センスに優れていますが、驚くのはそれだけではありません。

　中学時代、全国大会で100mと200mの二冠を達成。本職ではないのにこの偉業……とにかく足が速すぎるんです！　その五十幡君が今年、鳴り物入りで佐野日大に入学。これはもう、「スーパー1年生」候補の筆頭と言えるでしょう。

　春季大会ではメンバーから漏れてしまいましたが、夏は見事にベンチ入り。大会では代走での起用が多くなるでしょうが、スケールの大きい走塁でどんどん相手を掻き回してほしい！　一気に話題をかっさらうこと間違いなしです。

　高校野球は人材の宝庫。地方予選では、僕が知らない逸材がどんどん現れてくれることを期待しています！