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ハメス、クアドラドにオチョアまで。
W杯で過熱するプレミア移籍市場。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/07/10 16:30

ハメス、クアドラドにオチョアまで。W杯で過熱するプレミア移籍市場。<Number Web> photograph by Getty Images

今大会コロンビアは5試合で12ゴール。ハメス(左)は6得点2アシスト、クアドラドは1得点4アシストの活躍だった。

CFタイプでは、ベルギーの19歳が最大の注目株。

“ゴールラッシュ”の実態が、ロドリゲスを含む「10番」タイプの活躍によるもので、「9番」タイプは衰退を感じさせたのも今大会の特徴だ。そのセンターFW陣にあって、例外的に評価を急速に高めたのがベルギーのディボク・オリジ。優秀な若手が多いダークホースと見られていた同国代表だが、弱冠19歳のオリジには代表入り自体が予想されていなかった。

 だが、アフリカ系の血を感じさせる高い身体能力を持つゴールゲッターは、途中出場したアルジェリアとのグループ初戦で試合の流れを引き寄せ、続くロシア戦でも後半にベンチを出て決勝点となる自身の代表初ゴール。決勝トーナメントでのアメリカ戦とアルゼンチン戦では、ロメル・ルカクを抑えてスタメンに抜擢された。

「オリジはルカクに勝る」とツイートしたのは、ルカクがプレミアで2年連続2桁得点を上げるのを直に見てきたマイケル・オーウェン。ベルギーの準々決勝敗退2日後には、オーウェンの古巣で昨季中からオリジの動向を見守っていたリバプールが、移籍金約17億円で現所属先のリールと合意に至ったと報じられた。

 オリジのインパクトには及ばないが、エクアドルのエンネル・バレンシアもブラジルでの3ゴールでプレミア勢の目に留まった。移籍が実現すれば24歳での欧州初体験だが、その突破力と跳躍力はプレミアでも有効。ニューカッスルの他、元来は守備重視のサム・アラダイス監督が経営陣の攻撃強化令を受け入れたウェストハムも興味深い移籍先候補だ。

メッシを消し続けた21歳の「守備の人」。

 W杯前のイングランドにおける「無名度」では、ボスニア・ヘルツェゴビナのムハメド・ベシッチが筆頭格だろうか。21歳の「守備の人」は、全般的に攻撃要員が光った今大会のMF陣にあって、地味な堅守が認められた希少なボランチだ。グループステージ3試合で真価を計ることにはリスクもあるが、うち1試合の相手がアルゼンチンであり、ゴールを決められた「魔法の瞬間」を除いて、あのリオネル・メッシを消し続けたとなれば話は別。

 しかも、所属するフェレンツバーロシ(ハンガリー)との契約は3億円台で解除が可能。昨季途中に就任したグスタボ・ポジェ監督の下、残留争いとは無縁のシーズンを目指すサンダーランドのような低予算クラブでも買える「バーゲン商品」候補だ。

【次ページ】 守備陣では、アピール機会の多いSBが注目されやすい。

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