プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ハメス、クアドラドにオチョアまで。
W杯で過熱するプレミア移籍市場。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/07/10 16:30
今大会コロンビアは5試合で12ゴール。ハメス(左)は6得点2アシスト、クアドラドは1得点4アシストの活躍だった。
守備陣では、アピール機会の多いSBが注目されやすい。
守備陣では、攻撃参加でもアピールできる点でSBが注目されやすい。前回大会では、かつてトッテナムなどで指揮を執ったデイビッド・プリートに日本代表の印象を尋ねた際、逆に「あの生きのいいSBについて教えてくれないか」と、最終的にはインテル入りする長友佑都について質問されたことを覚えている。
アメリカのデアンドレ・イェドリンに初めて興味を持ったイングランド人識者も多かったに違いない。シアトル所属の右SBは、途中出場ながらもグループGでのポルトガル戦とドイツ戦で、力強く果敢な攻撃姿勢で観衆を沸かせた。そして、好勝負を演じたベルギーとの16強対決では、前半途中に投入されてエデン・アザールと対峙。チームは惜敗に終わったものの、自身はプレミアDF陣でも手を焼くアザールに仕事をさせなかった。
21歳の誕生日を目前にした7月7日にはローマ移籍を現地メディアが伝えたが、シアトル側は商談成立を認めていない。1千万円台の現年俸はプレミアでは控え選手の週給レベルでしかなく、今夏の補強予算が年俸込みで20億円未満のアストン・ビラも動向を見守っているようだ。
コートジボワールのセルジュ・オーリエも、カウンターでの威力が一番の魅力だ。日本戦でテレビ解説を務めたイアン・ライトは、ハーフタイム中に司会者からアーセナルの興味を知らされると「嘘だろう?」と、前半に見られた守備面の不安に渋い表情。だが2アシストをこなして後半を終えると、「あのクロスは役に立つ」と元アーセナルFWとして移籍の噂を歓迎した。
10人で日本をシャットアウトしたギリシャのCBも。
純粋な守備で価値が計られるCB陣では、グループステージ第2節でイングランドに引導を渡したウルグアイのホセ・ヒメネスが、最終ライン再構築に着手するマンUで補強オプションの1人に数えられている。19歳の若さではあるが、ヒメネスの機動力と対人の強さは、アトレティコ・マドリーに移籍した昨夏の時点でプレミア勢にも認識されていた。
その点、ギリシャのコンスタンティノス・マノラスは、今大会での4試合を経てプレミアでも通用すると言われるようになった。
グループC第2節、前半38分にボランチのコンスタンティノス・カツォラニスが退場となり、日本に74%のボール支配率を実現されてもスコアレスドローにこぎ着けた試合。23歳のオリンピアコスCBは、最終ライン中央で強固な壁の1枚となった。決勝トーナメント1回戦でも、PK戦で敗れる前の120分間は、コスタリカの攻撃を枠内シュート2本に抑えている。当たりの激しさと空中戦の強さはプレミア向き。マンU入りが見込まれるトーマス・ベルメーレンの後釜に、アーセナルが欲しがるのも頷ける。10億円台で済む移籍金も、予算はあるが賢い買い物を好むアーセナルに打ってつけだ。