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内田、長谷部、清武、大迫……。
日本人ブンデスリーガー、W杯を語る。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2014/05/19 10:50

内田、長谷部、清武、大迫……。日本人ブンデスリーガー、W杯を語る。<Number Web> photograph by AFLO

最終節のシャルケ戦で復帰し、予定外のフル出場となった長谷部誠。彼の回復状況にW杯での日本代表の浮沈がかかっている。

長谷部のコンディションは何%?

――実際に出て、コンディションは何%?

「パーセンテージは分からないですけど、まだまだ自分の中で上げなきゃいけないと思いますね」

――2部降格になりましたが。

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「自分は今季このチームに、助っ人という形で移籍してきたわけです。チームもそれなりの移籍金を払って自分を獲得してくれた中で前半戦は1度も勝てなくて、後半戦は怪我で今日しか試合に出られなかったというのは、非常に責任を感じています」

――ニュルンベルクに残留するんですか?

「今はわからないですね。色々な思いがあるので、それを決めるのには個人的には時間が必要かなと思います」

――色々な思いがあるというのは?

「今シーズン、ニュルンベルクに来たのに、結果を出せなかったという責任も感じますから。ただ、自分の契約はニュルンベルクでは1部(※2部に降格した場合は無効となる契約)での契約だけなので。そういう意味では、ニュルンベルクからのオファーはないのかもしれないし、移籍金がかからないという部分では、もちろん色々な可能性もあると思うし。その辺はこれからじゃないですかね」

――リハビリをする際の前提条件として、どこまで練習に参加するかなどをトレーナーと相談しながら、長谷部選手自身が判断していいというものだったわけですから、この試合の前に監督に自分は試合に出られる状態にあると申告したということですか?

「そうですね。出場時間とかの部分に関しては、監督と話していたとおりにはならなかったですけど。今日は、当初(の予定で)はフルで出る感じではなかったのですが、怪我人が2人ほど出てしまったので、しょうがない部分はありました。ただ……何に重きを置いているのか、ではないんです。

 皆さんはW杯のこととかを聞きたいでしょうけど、やっぱり自分は今、このチームで出来ることをやらないと。それは自分のためにもならない。もちろん、W杯というのは重要なところだと、僕にとっても大きなところだと思いますけど、このチームで戦うことも大事だから。そこをおろそかにしたら、人間として自分は納得しない。そういう部分では色々、この(負傷から復帰までの)期間には葛藤もありましたけど、自分は責任を感じていますし。何が正解とか、何が失敗とか、今決めることじゃなくて自分次第だと思いますけど」

ドイツに戻ってくるという覚悟。

――試合に出られる状態にあるということを監督にどのタイミングで伝えた?

「もう……今週の週頭くらいに」

――マインツ戦の前に戻ってきたときにはその覚悟を持って戻ってきていた?

「もちろん、そのときにはまだ試合に出られる状態ではなかったですけど、そこからチームの練習に加わったりとか、そういうところですね」

――今日の試合中では一つ一つのプレーに対して、普段以上に気持ちを出しているように見えました。最近の試合ではニュルンベルクの選手たちが降格の危機に瀕しているのにもかかわらず、気持ちのこもったプレーをしていないという批判もありましたが、そういう空気を変えようと意識していた?

「うーん……非常に難しい部分はありますけどね。自分もずっとチームを離れていて、その中で自分が帰ってきたときは、雰囲気としても難しいところでしたけど、とにかく自分が出来ることは、ピッチの上で味方を鼓舞するとか、そういうことしかなかったので。その辺りが出来たのか、出来なかったのか、自分もわからないですけどね」

――後半5分、長谷部選手のパスミスから相手のカウンターが始まり、マイヤーのシュートがゴールポストにあたるシーンがありました。長谷部選手のミスとも言えますが、その前提として多くの選手がパスを受けたがらない状況があった。そこでは恐れずにパスをもらおうと意識していた?

「今までの試合を見ていても、そうは感じていたので、積極的にパスをもらおうとしました」

「うーん……難しかったですね、正直」

――試合前にチームメイトを鼓舞しようと働きかけていた?

「コミュニケーションはたくさん取りました」

――'10-'11シーズン、ヴォルフスブルク時代には残留争いに巻き込まれ、最終節で残留を決めた経験がありましたが、そういうことをチームに伝えたりもしましたか?

「シチュエーションは違いましたけどね、あのときは自分たちが追いかけられる状況でしたから。うーん……難しかったですね、正直」

――もしも残留争いという特殊な状況ではなかったら、どのくらいのタイミングで復帰しようとしていましたか?

「自分の中では試合をすることによって、戻って来るものもあると思うし。そういう意味では今は試合をやっていく時期なのかなというのは思いました」

――降格したタイミングで聞くことになってしまいますが、プロとしてはこれからW杯に向けての準備を全力でしていくと?

「もちろん、そうですね。ただ、発表が明後日なので、それを聞いてからじゃないですか?」

――90分プレーできたのは収穫だと?

「でも、最後の方は走れなかったですね。自分だけでなく、チームとして連動性がなくなっちゃったので、難しい部分もありましたが。それを加味しても自分の中では足が止まった感覚はありました」

【次ページ】 苦しさもある一方で、チャレンジし続ける楽しさもある。

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