サッカーの尻尾BACK NUMBER
カンプノウが祝福した「リーガ新王者」。
シメオネとアトレティコ、2強時代に幕。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/05/18 11:45
EL、国王杯などシメオネが古巣アトレティコにもたらしたタイトルに、リーガ王者が加えられた。一週間後には今季最後の大一番、CL決勝へ挑む。
シメオネ「お前らは1点とることになる」
昨夏ファルカオが抜けるなど、この3年間でチームのピースは変わっていったが、シメオネのチームはそれに影響されることなく完成に近づいていった。
アレクシス・サンチェスの先制点後、スタジアムの大声援もあり、バルサは勢い任せに攻めてきた。以前のアトレティコであれば、あの時点で引き気味になり劣勢になっていたはずだが、慌てずに対処しカウンターからチャンスを狙う姿勢は完全に大人のチームのそれだった。
ハーフタイムにシメオネはロッカールームで「お前らは1点とることになる」と語ったという。
優勝を決めることになる1点はセットプレーから生まれた。シメオネはシーズンを通じてセットプレーのディテールを突き詰めていた。ゴディンの得点に繋がった右CKの際には、味方が相手選手をブロックし、一瞬だけ彼をフリーにさせている。そんな影の動きは、指揮官が徹底して叩き込んだものだった。
その他にも、シメオネはメッシの動きを再三、守備陣とMFに手取り足とり教え、その特長を掴ませていたという。得点を決めたゴディンは「このタイトルはシメオネのもの」と笑顔を見せていた。
ベイルやネイマールを買えなくとも戦える。
アトレティコに感じたこれらチームの一体感は、今季のバルサには感じられなかったものだ。マルティーノ監督は試合後に退任を発表。バルトメウ会長は「来季に向け大規模な変革がおこなわれる」と明言している。
「38試合もの間レアル・マドリーとバルサと競うのは簡単じゃない。1年を通じて僕らは戦い続けたんだ」とゴディン。
今シーズン、アトレティコは証明したのだ。優れた指揮官と、それについていくスタッフ、献身することのできる選手たち、そして何よりも団結したチームがあれば、ベイルやネイマールを買えなくとも、2強と競合することは可能なのだと。
ここ数年2強以外のファンには、「最終的には2強が勝つ」という、半ば諦めムードが漂っていた。しかしアトレティコの優勝でそれは払拭されつつある。2強時代に終止符を打ったシメオネのチーム。来季のリーガは、きっとさらに面白くなるだろう。