ソチ五輪EXPRESSBACK NUMBER
苦しい戦いのスピードスケート陣。
パシュートに勝算がある理由とは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2014/02/17 11:20
1500メートルで25位に終わった田畑。日本から出場の4選手はいずれも同組の選手についていけず、大きく離された惨敗となった。
前回は銀、連盟が最も力を入れるパシュート。
チームパシュートは前回のバンクーバー五輪で日本が銀メダルを獲得した種目。今回は日本スケート連盟が最も力を入れている一押しの種目でもある。高木は、「パシュートではまずは自分の滑りをどう直すかにかかっている」と前を向いた。
日本勢4人中最上位となる22位でフィニッシュしたのは押切美沙紀だ。入りの300メートルを25秒台とまずまずのタイムで滑ると、後半もラップの落ちを最小限に防ぎ、2分00秒03。「自分は最初に突っ込んで、どこまで行けるかという選手。2分を切りたかったけど、力を出し切れたと思う」と明るい表情だ。
昨年12月のソチ五輪選考会ではチームパシュートの4番手としての代表入りだったが、ソチ入りしてからコンディションが急上昇した。「レース直前になって緊張でガチガチになったけど、スタンドで岡崎朋美さんと清水宏保さんが“押切、ガンバレ”と声を掛けてくれて緊張がほぐれた」と笑顔が浮かぶ。
五度目の五輪でも、独特の緊張感が田畑を襲った。
ショートトラック代表の菊池萌水と姉妹出場を果たした菊池彩花にとって、1500メートルのレースはタイムも内容も悔やまれるものだった。2分1秒29で31位。
「自分らしく滑ることを目標にしてきたが出来なかった。悔しい気持ちでいっぱい。氷をしっかりととらえることができていない。力を使わないと進まないし、使うことで後半もたなくなる」と厳しい表情だ。だが、こちらもチームパシュートに向けて気持ちをすでに切り替えている。
五度目の五輪となった田畑にとっても、ソチ五輪の舞台にはやはり独特の緊張感があった。日本チーム内ではレース前に「女子1500メートルのスターターは、スタートまでが遅い」という情報を選手に与えていたが、スタートラインに立った田畑の頭の中からは、それがすっぽりと抜け落ちていた。
右足が後ろに流れ、フライング。2度目があれば失格になる。しかし、そこから先は冷静だった。
「フライングはしたけどレースには影響がなかった。300メートルは(想定より)コンマ2秒ほど遅かったけど、最初の1周は悪くなかった」