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バルサ会長交代劇の裏にマドリーが!?
“ネイマール裁判”で見えた深い溝。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2014/02/11 08:15
1月23日、バルセロナは会見を開き、ロセイ前会長の辞任(左)と、バルトメウ新会長の就任を発表した。
告訴の受理直後に、ロセイ会長は辞任を発表。
その後、首都マドリードで発行されているエル・ムンド紙が、ネイマールの獲得コストは実は9500万ユーロ(約132億円)だったと報じた。判事の要請でバルサが提出したネイマールとの契約書の数字がリークされてのことだったが、約3800万ユーロの急増は、のちのバルサの説明を聞く限り「解釈の違い」である。
エル・ムンド紙は契約金や代理人のコミッション、ネイマール獲得とは直接関係のない出費(ブラジルでのスポンサー探しや新たなタレント発掘のための謝礼など)を総額に含めたが、バルサはそうはせず、たとえば契約金はサラリーとして別に申告している。
その是非はともかく、カセスの告訴は受理されることになった。すると直後、ロセイは辞任を発表した。
ここまでが第一幕である。バルサの会計の透明性を主張し続けたロセイが突如退陣を決めたのは不可解だったが、家族ぐるみで脅迫され、自宅ドアには銃弾が撃ち込まれたというから、致し方なかったのだろう。
ただし、こうした被害についてロセイ側から警察への届け出はなされていないらしい。一方で、ブラジルにおいてネイマールの件とは別の事件で刑罰を下されそうになっていることがロセイにプレッシャーをかけたという声もある。
裁判所が参戦、バルサ新会長も反論。
いずれにせよ、カセスはこの時点で訴えを取り下げる可能性を示した。もともと彼は会長不信任動議を提出した過去を持つ反ロセイ派。辞任という勝利を得た後も糾弾を続けては、愛するバルサを害しかねないと考えたからだ。
ところが裁判所はカセスが訴えを取り下げたとしても本件の審理は続けると発表した。
ここから第二幕が始まる。
まず、ロセイの後を継いだジョゼップ・マリア・バルトメウ新会長が地元ラジオ局の番組で「マドリードの町に、この件を利用してバルサにダメージを与えようとしている人がいる」ことを嘆いた。
「バルサにメッシとネイマールの2人がいることに納得できないのだろう。'04年からこちら、どのタイトルもバルサが制してきたことに関係しているのかもしれない。ピッチでは敵わないから、オフィスの中で勝とうとしているようだ」