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大迫勇也、初ゴール以上の収穫。
ドイツでの研鑽はブラジルに通ず。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/02/13 10:50
デュッセルドルフとのデビュー戦で、値千金の先制ゴールを決めた大迫勇也。ゴール以外にもポストプレーなどで持ち味を見せ、早くもチームの信頼を勝ち取ることに成功した。
大迫勇也のデビュー戦は、彼の未来に光がさしていると感じさせるものとなった。
1860ミュンヘンの白と水色のユニフォームを着た初めての公式戦でフォルトゥナ・デュッセルドルフを相手に先制ゴールを決めたから、という単純な理由ではない。
「ただ待つだけというのはイヤだった」
そんな言葉とともに、成長するべくミュンヘンにやってきた23歳のストライカーの先には、何が見えているのだろうか。
2014年、1月7日。レーベンの愛称で親しまれるクラブへの入団会見で、大迫は移籍を決めた理由をこう明かした。
「まずはW杯というの(目標)があって。そのためには、『自分はこのままじゃダメかな』と思ったし、成長するために新しく環境を変えてチャレンジしたいなと思いました」
「立ち止まっても意味がないなと思ったので」
ただ、W杯を約半年後に控えた時期の移籍は、リスクを伴うと指摘されることが多い。環境が変わって調子を崩すこともあれば、出場機会に恵まれずに試合勘や自信を失うこともある、というのがその理由だ。大迫の場合、鹿島アントラーズで自身のキャリア最高となる19ゴール(J1リーグ戦)をマークしたばかり。7月の東アジアカップから日本代表に選ばれ、11月のオランダ戦ではゴールも決めている。
はたから見れば、彼の周りにはポジティブな空気が充満していて、何かを変える必要はないように見えた。しかし、成長することを第一に考えた大迫は違うことを感じていた。移籍に伴うリスクについて問われると、キュッと表情をひきしめ、こう答えた。
「立ち止まっても意味がないなと思ったので。前進するしかないし、チャレンジし続けていくしかない」
この会見のあと、大迫の代理人を務める秋山祐輔氏が、大迫の説明を補足するように、こんなことを話していた。