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バルサ会長交代劇の裏にマドリーが!?
“ネイマール裁判”で見えた深い溝。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2014/02/11 08:15
1月23日、バルセロナは会見を開き、ロセイ前会長の辞任(左)と、バルトメウ新会長の就任を発表した。
不謹慎ながらバルサの会長交替劇が面白い方向へ転がったので、ちょっと前のことになるけれど、取り上げたい。
事の発端は昨年の12月はじめに、ソシオの1人ジョルディ・カセスが前会長サンドロ・ロセイを告訴したことだった。嫌疑は昨年夏のネイマール獲得オペレーションにおける横領である。
ネイマールの獲得費用について、当初バルサは総額(5710万ユーロ/約80億円)以外を明らかにしなかった。契約に関わったある者と守秘の約束を交わしたからだ。しかしスポーツ紙の報道によって、あくまで非公式ながら、出費の内訳が判明した。
いわゆる移籍金に該当するのは5710万のうち1710万ユーロ(約24億円)。ネイマールの保有権を有していたサントス(55%)とDIS社(40%)とTeisa社(5%)がこれを分かち合う。バルサはFIFAにもこの額を移籍金として報告している。
残り56億円の内訳を求めて、告訴に。
では残りの4000万ユーロ(約56億円)はというと、ロセイはサントスのロドリゲス会長に次のように説明していた。
「他者との間に存在した事前の合意事項」に関するコストであり、「バルサにとってはネイマール獲得に直接関係するが、サントスには無関係であって、ネイマールの移籍金とするべきものではない」
つまるところ「バルサに入ります」という2年前の約束を守ったことに対してバルサがネイマール家(実際はネイマール父の会社N&N)に払ったボーナスである。ちなみに契約時の詳細を公にしないよう望んだ“ある者”もネイマール父だ。
カセスはこの4000万ユーロに目をつけた。そしてロセイに情報の開示を迫ったが無視されたため、予告どおり告訴に踏み切った。
それでも、何らやましいところはないとロセイは胸を張っていた。裁判所にカセスの訴えを受理し、自分を証人尋問するよう求めさえしていた。