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「重圧をかけた上で、結果を出す」
加藤条治、ソチでは「金」だけを狙う!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/01/27 10:40
内定を持った上で参加した日本代表選考会。13年には世界記録にあと0.18秒と迫る34秒21のタイムを出すなど好調の加藤。三度目の正直、なるか。
ギリギリのトレーニングで、一時は不調となるも。
一方で、他の強化策にも取り組んできた。今までカーブで減速すると、再度スピードを上げるのが難しかった。それが可能となる体力作りを心がけてきた。2月のソチを見据え、開幕ぎりぎりまでトレーニングで追い込んだ。
その影響からか昨年11月の開幕戦、カナダ・カルガリーでのワールドカップでは、17位と7位タイにとどまったが、2戦目のアメリカ・ソルトレイクシティでの大会で優勝し、早くも成果を見せる。
この大会では「力みをいかに捨てるか」というテーマを掲げてもいた。力を抜いたスタートが奏功したのも優勝につながった。それは滑り方の、新たな発見でもあった。
その後も、練習量をあげて大会に出場したりと、試行錯誤を続けてきた。
仮想ソチとして臨んだ代表選考会での2本の滑り。
昨年末の五輪代表選考会の500mもそうだ。ワールドカップの成績で、すでに代表入りの内定を得ていた加藤は、ソチ五輪前の最後の公式戦であるこの大会を、「絶対に勝たなければいけない試合」と位置づけて臨んでいた。プレッシャーを自らにかけつつ、その中でどのような結果を出せるか。言ってみれば、仮想オリンピックとして捉えていた大会だった。
そして加藤は、ただ一人2本とも34秒台をたたき出し、優勝を遂げた。だから、こう喜びを見せた。
「重圧をかけた上で、結果を出すことができました」
毎シーズンの国際大会転戦、2度のオリンピックを経る中で、苦い思いも少なからずあった。その中で課題を掲げては解決策を探しながら、自身の糧を得てきた。いかにここ一番の大会に合わせていけばよいのか。メンタル面も含め、調整方法も把握しつつある。まさに、多くの時間を費やしてきた選手ならではの境地に達しようとしている。
3度目の大舞台となるソチは、そのすべての時間を込めて滑る場だ。
過去2回で届かなかった、悲願の世界一を目指して、加藤条治はリンクに立つ。