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「重圧をかけた上で、結果を出す」
加藤条治、ソチでは「金」だけを狙う!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/01/27 10:40
内定を持った上で参加した日本代表選考会。13年には世界記録にあと0.18秒と迫る34秒21のタイムを出すなど好調の加藤。三度目の正直、なるか。
「ここまで来たら金メダルしか狙っていません。目標に向かって突き進みたいです」
1月20日、ソチ五輪日本選手団の結団式と壮行会が開かれた。
その場で取材に応じたスピードスケートの加藤条治は、力強く、はっきりと口にした。
それは過去2回のオリンピックで味わった悔しさを、もう二度と繰り返さないという決意でもあった。
あれから4年が経つ。2010年2月15日、バンクーバー。500mに出場した加藤は、結果を見るやいなや頭を抱え、うずくまった。
銅メダルだった。世界記録保持者(当時)として臨み、期待を集めながら6位に終わった'06年のトリノからすれば、大きな成果とも思えた。
だが、加藤が目指していたのは世界一だけだった。だから、ただ悔しかった。
時は流れ、再びオリンピックシーズンを迎えた加藤はシーズン開幕前、こう語っていた。
「悔しさはあるけれどひきずってはいないです。負けを取り返すというのも後ろ向きな頑張り方だなと思うし、次に勝つために頑張りたいと思ってやってきました」
頂点に立つために、どうしても克服すべき課題が。
その言葉の通り、バンクーバー五輪後も日本のエースとして活躍を続けてきた。昨シーズンは1シーズンを通して安定感を増した滑りを見せ、世界スプリント選手権で日本新記録をマークし優勝、世界距離別選手権でも日本勢ただ一人のメダルとなる2位に入るなど、好成績を残した。
だが、頂点に立つためには、克服しなければいけないことがあるのも分かっていた。この数年、課題としてきたコーナリングである。特に、第2カーブに大きな問題があった。
「世界でも1、2を争うくらい減速率がひどいんです」
毎シーズン、改善策を求めてきたが答えはみつからなかった。今シーズン開幕後も模索を続けてきた。