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日本ダービーに最も近いのは牝馬?
2014年のクラシック戦線を読む。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/01/18 08:20
昨年8月の新潟2歳ステークスで上がり3ハロン32秒5という驚異の末脚を見せたハープスター。その真価がクラシックで問われることになる。
昨年、第80回となった節目のダービーを武豊のキズナが制した。そのキズナとオルフェーヴルが凱旋門賞のトライアルを勝って期待されたが、本番では2、4着と「世界最高峰」の牙城を崩すことはできなかった。オルフェが有馬記念を8馬身差の圧勝劇で締めくくり、JRAの年間売上げは2兆4049億3351万円で前年比100.4%。2年連続、前の年をわずかながら上回った。
総じてまずまず盛り上がった――2013年の日本の競馬をひとことでまとめると、そんなところではないか。
今年はどんな年になるだろうか。
ということで、少しずつ有力候補が揃ってきた2014年のクラシック戦線を先読みしてみたい。
マイルより2400mが絶対に向くハープスター。
まずは牡馬戦線、いや、ダービー戦線とするべきか。なぜかというと、今年のダービーを勝ちそうな馬としてパッと思い浮かぶのが牝馬だからだ。
そう、今のところは「無冠の女王」となっているハープスター(父ディープインパクト、栗東・松田博資厩舎)である。
2戦目の新潟2歳ステークスを他馬が止まって見えるほどの末脚でぶっこ抜いたこの馬。そのレースで負かした馬がことごとく活躍し、強さが本物であることは早くから証明されていた。2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズでは鼻差の2着に敗れたが、絶望的に見えた後方から凄まじい脚で追い込み、ゴールを1、2m通過したところでは完全にこの馬が前に出ていた。オルフェが「勝った」と思わせながら2着に終わった一昨年の凱旋門賞のように、多くの人が「一番強いのはこの馬だ」と思ったのではないか。
ゴールに近づくほど加速する走りや、祖母がベガという血統からして、マイルより2400mのほうが絶対にいい。
6月1日の日本ダービーのゴールに、他馬より体ひとつかふたつ近いところにいる、という感じがする。