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レジェンドと呼ばれる男、葛西紀明。
41歳、ソチへ悲願の金を取りに行く。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2014/01/10 10:40

レジェンドと呼ばれる男、葛西紀明。41歳、ソチへ悲願の金を取りに行く。<Number Web> photograph by Shino Seki

41歳、スキージャンプという競技においては異色の存在と言える葛西紀明。多くの最年長記録を持つ男が、五輪での最年長金メダルを目指す。

「みんなが持っているのに、僕だけ持っていませんからね」

 世界でも異例と言える軌跡を描けた秘訣は、葛西の「思い」にある。

 以前、インタビューしたとき、葛西は言った。

「多少ありますね。競技のレベルで言えば、本当はワールドカップのほうが高いと思う。でもやっぱりオリンピックで勝つことが一番評価されると思うんですよ」

 何について「多少ありますね」と言ったか。それは国内と海外からの評価のギャップだった。経歴を振り返れば、まぎれもなく日本のトップジャンパーの一人である。海外では尊敬を集める存在だ。だが国内では認知度において、第一線で活躍してきた他の選手と比べて低い面があるのは否めない。

 その差がどこから来るかは自覚している。オリンピックの金メダルである。上のコメントはこう続く。

「原田(雅彦)、船木、斉藤(浩哉)、岡部(孝信)、みんなが持っているのに、僕だけ持っていませんからね」

 日本でのオリンピックの存在の大きさ。

 もしかしたら、長年活躍してきたベテラン選手への敬意よりも、若い選手、若い選手へと目が向きがちな風潮も影響しているかもしれない。

「レジェンド」はソチで最年長金メダルを目指す。

 いずれにせよ、葛西は悔しさを抱え「いつかは金メダルを」と取り組んできた。

 迎えた今シーズンは、近年ではもっとも調子がいいと言ってよい成績を残してきた。ワールドカップの初戦こそ27位に終わったが、その後の個人戦では、出場した9戦すべてで10位以内。第6戦では3位と表彰台に上がり、ジャンプ週間では日本勢トップの総合5位。葛西自身にとっても、8シーズンぶりの総合10位以内となったのだ。

 葛西以外の日本勢も好調であるように、好成績の背景には、用具で劣ることが少なくなってきたこと、ルール改正が落ち着いたことで本来の技術を発揮できるようになったこと、ナショナルチームとしての強化などが確かにある。

 しかしそうだとしても、ここまでトレーニングを怠らず、練習や試合に飽くことなく取り組んできた葛西自身の尋常ではない努力が核にあるのは間違いない。そしてそれを支える精神力も忘れるわけにはいかない。

「今の調子から行けば、(ワールドカップ日本最多の)16勝をつかめるかもしれません。(ソチでは)金メダルを目指したいですね」

 海外では「レジェンド」とも称えられる41歳のジャンパーの意欲に、衰えは一向にない。

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