フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
選手選考で混乱したGPファイナル。
見所は独走・浅田とチャンvs.日本勢。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2013/11/28 10:30
ファイナル進出を決めた直後、「自分ではもっと上のレベルを目指せると思っている」とさらなる飛躍を語った浅田。圧倒的な実力と自信に、バンクーバー五輪からの成長を感じさせた。
GPシリーズ最終戦、ロステレコム杯が11月24日に終了し、福岡市で12月5日から開催されるGPファイナルに出場する選手の顔ぶれが出揃った。
全体を通してみると、3戦目の中国杯の男女シングルの結果がもっとも予想外で、全体のファイナルの顔ぶれに影響を与えることになった。
トップを独走する浅田真央に迫るのは誰なのか?
女子ではスケートアメリカとNHK杯で連勝した浅田真央が、いち早く進出を決めた。今シーズン、ずっと安定した演技を見せてきた浅田は、いよいよスケーターとして円熟し、滑りに貫禄を感じさせるようになってきた。彼女が現在のところトップを独走し、ほかの女子が彼女を追う形になっている。
大方の予想に反して、6人中ロシアの若手が4人を占めるという結果になった。その中でも福岡での浅田の最大のライバルは、15歳のユリア・リプニツカヤになるだろう。ルッツで3+3のコンビネーションを跳び、サーカスのパフォーマンス並みの柔軟性で見せる「キャンドルスピン」は彼女にしか出来ない技だ。
歴代3位のスコアを出したロシアのリプニツカヤ。
ロステレコム杯ではリプニツカヤはSPで72.24と、キム・ヨナ、浅田真央に続く歴代3番目の高スコアを手にした。まだまだ滑りにジュニアっぽさが残るものの、演技が安定しているだけに試合のたびにジャッジの出す演技構成点は上がってきている。福岡でリプニツカヤがメダルを手にすれば、ソチ五輪でも怖い存在になってくることは間違いない。
昨シーズンはGPファイナルに進出したものの、怪我で欠場。浅田と彼女が顔を合わせるのは、昨年の中国杯以来のことである。
米国のアシュリー・ワグナーも、演技が安定している選手だけにメダル候補からははずすことができない。
特にロシアのティーンネイジャーたちと同じ氷の上に出たとき、彼女のシニアらしい貫禄と表現力が改めて評価されることになる。ジャンプミスが出なければ、若手を退けることができるだろう。