フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
選手選考で混乱したGPファイナル。
見所は独走・浅田とチャンvs.日本勢。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2013/11/28 10:30
ファイナル進出を決めた直後、「自分ではもっと上のレベルを目指せると思っている」とさらなる飛躍を語った浅田。圧倒的な実力と自信に、バンクーバー五輪からの成長を感じさせた。
求められる各大会におけるレベルの均一化。
今回はファイナル初進出の若手が2人入った。ロシアの18歳マキシム・コフトゥンは、ロステレコム杯のSPではトウループとサルコウの4回転を成功させ、92.53という歴代4位の高得点を出した。中国杯に続いてここでも2位となり、進出を決めた。
また小塚崇彦の不調をついて中国杯で優勝したハン・ヤンは、フランス大会では4位だったが、ファイナルに初進出した。
女子やペアでも同じことが起きているが、ヤンの場合、2試合の合計スコアだけを見ると、459.85で今季のGP大会男子の中では10位である。どのGP大会でも優勝すれば自動的に15ポイントの順位点がもらえるが、優勝者の演技のレベルは大会によってかなりのばらつきがあることも珍しくない。現在のファイナル進出ルールに改正の必要はないのかどうか、今一度考えさせられる一例だった。
アイスダンスとペアにも注目!
その点、もっともすっきりした6組が揃ったのは、アイスダンスだっただろう。
米国のデイビス&ホワイト、カナダのヴァーチュー&モイア、ロシアのボブロワ&ソロヴィエフ、フランスのペシャラ&ブルザ、カナダのウィーバー&ポジェ、そしてイタリアのカッペリーニ&ラノッテの6組は、現在の時点では文句なしに世界トップ6チームと言える。GP6大会2試合で、この6組を超える合計スコアを出したアイスダンスチームは他になく、五輪メダリストもこの中から生まれることは間違いない。
ペアはジャンプがある分、アイスダンスよりも大会ごとの成績の変動が激しいと言える。最大の焦点は、今シーズン絶好調のヴォロサザール&トランコフに、過去4回世界タイトルを手にしてきたドイツのサフチェンコ&ゾルコーヴィがどこまで迫ることができるかだろう。