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前人未到の天皇杯3連覇を約束!
遠藤保仁「俺らは歴史を作りたい」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2010/12/24 10:30
2年前のクラブW杯ではマンUのA・ファーガソン監督にも絶賛された遠藤。南アW杯後には海外移籍の話題でも盛り上がった
ACL出場権をまだ持たない鹿島のモチベーションは高い。
「名古屋は勝負強かったけど、それでも8敗はしているわけだからね。もっと混戦に出来たと思うけど、俺らは名古屋に連敗しているし、他にも取りこぼしが多かった。それに、スタートでつまずいたのも大きかった。そうしたリーグ戦の悔しい思いを、天皇杯にぶつけて、優勝したいという気持ちがすごく強いんだよね」
悔しい思いをしたリーグ戦の憂さを晴らし、今季を締めくくる天皇杯で優勝してシーズンを終わらせたいという遠藤の気持ちは選手としては当然だろう。だが勝ちたい意欲は、当然ながら他チームも持ってる。特にリーグ戦で4位に沈み、天皇杯の優勝によってACLの出場権獲得を狙うアントラーズのモチベーションは非常に高いはずだ。それを越えて優勝するのは、容易ではない。
「でも、俺らは新しい歴史を作りたいからね。大会3連覇というのは、そう簡単にできるものじゃない。そのチャンスを与えられているのは、うちだけなんで、絶対に優勝して新しい歴史を作り、歴史に名前を刻みたい。今回は、これが一番大きいよ」
読売クラブ、日産、浦和……どこもなしえなかった3連覇。
1921年にスタートした天皇杯の長い歴史の中で2連覇を達成したチームは、古くは関学クラブ、さらに読売クラブ、日産と続き、最近では浦和レッズなどが記憶に新しいところだ。だが3連覇は、まだどのチームも成し遂げていない。それだけ困難なミッションなのだ。というのも天皇杯の終盤戦は12月に開催される。この時期は解雇通知を受けたり移籍が決まった選手と契約更新した選手が共に戦うことになるので、選手間のモチベーションに温度差が生じやすい。メンタル面でチーム一丸となって戦うのは非常に難しく、淡々と敗れていくチームも多いのだ。
「でも、うちはそういうのはあまり関係ない。そもそもやる気のない選手は、試合には出れないからね。今回は、過去2回優勝した時よりも選手のモチベーションが高い。チームを離れる選手にしても歴史を作るチャンスなんて、そうないからね。それを自分らの手で達成できる可能性があるんだから、みんな頑張るでしょ」
実際チームの選手に話を聞いてみても3連覇へ向けての意欲が半端ではない。明神智和も「絶対に優勝するという空気がある」と、チームとしての勢いを感じるという。
「個人的にも決勝に行くのは都合がいい」
遠藤は、そう言う。