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戦力充実の西武と捨て身のロッテ。
渡辺・伊東両監督のCS頭脳戦開始!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/10/11 13:15
現役時代は14度のリーグ優勝、8度の日本一を経験。現役引退後、監督としても西武を日本一に導くなど、伊東勤監督は短期決戦を知り尽くしている。
今季のパは驚きに満ちていた。最後も……。
成瀬は今季、楽天戦は2試合の登板で、14回を投げて失点は1。左打者が並ぶ楽天相手には、与しやすしと見ていたとも考えられる。7日のオリックス戦では、松永、藤岡貴裕という二人の左腕を試運転させるかのように左腕継投を実行しているのも気になる点だ。
10月10日のコラムで書いたように、西武にしてもロッテにしても、彼らの目標は第1ステージの突破ではない。最終的な目標は、第1ステージを経て、楽天を破り日本シリーズに出場すること。お互いだけを意識しすぎた戦いをしても、先は見えてこないのである。
ロッテは戦力的に苦しいはずだが、伊東監督の采配に何か大きな狙いが隠れている気がしてならない。CS最終ステージで負けるのなら、第1ステージで負けるのも同じだというような――。
チーム状態がどれだけ悪くても、怒りの矛先を周囲には向けず、メディアにも真摯に対応してきた。伊東監督の肚の据わり方には、指揮官としての器の大きさが感じられる。
今季のパ・リーグは、シーズンを通して信じられないことが多かった。
その一つは、楽天・田中将大の破竹の24連勝。無敗でシーズンを終えるという末恐ろしいピッチング。そして、もうひとつが、西武がどん底から這い上がり、シーズンの最後を8連勝しての逆転2位でのフィニッシュである。
最後にもう一つ、何か起きるのかもしれない。
ベストメンバーを揃えた好調・西武が無敗のまま日本シリーズまで行ってしまうという衝撃。
伊東監督の采配によってロッテがビッグサプライズを起こすのではないかという夢想。
シーズン中、交互に浮沈を繰り返した両者は、CSで何を起こすのだろうか。