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戦力充実の西武と捨て身のロッテ。
渡辺・伊東両監督のCS頭脳戦開始!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/10/11 13:15
現役時代は14度のリーグ優勝、8度の日本一を経験。現役引退後、監督としても西武を日本一に導くなど、伊東勤監督は短期決戦を知り尽くしている。
両者の力の差を如実に表していた。
両者の今シーズンペナントレース最終戦。クライマックスシリーズ(以下CS)の本拠地開催を決める戦いとなった10月8日の西武-ロッテ戦は、接戦が予想される中、西武が勝利を収めた。
10-2のスコアは、今の力の差そのままが出たといっていい。とはいえそれは、両者の戦力の差ではない。簡単にいえば、“コンディションの差”といえるのではないだろうか。
この両者の今シーズンを振り返ってみると、実に、対極にあったように思う。
スタートダッシュを切ったのは西武だった。
岸孝之、牧田和久、菊池雄星、野上亮磨、十亀剣の先発陣が開幕から白星を重ねた。シーズン前は、メジャーへ挑戦した中島裕之や主砲・中村剛也の離脱でチーム力の低下を危惧されたが、4月は投手陣が3完封を挙げるなど、リーグをリードした。
しかし、開幕ダッシュの勢いに陰りが見えると、隠れていた不安要素が露呈してきた。5月は相変わらず先発陣は奮闘していたものの、接戦をことごとく落とす展開が目立った。
5月に失速した西武と、ロッテの快進撃。
先発投手が試合を作れないと戦いが苦しくなる。中継ぎ以降の投手陣に元々大きな不安を抱えていた西武は、粘り勝つことができなくなった。つながりのある打線が得点を挙げているうちは良いが、点差が詰まってくると厳しい戦いになっていた。坂田遼、片岡治大が故障で離脱すると打線も迫力を欠き、苦戦を強いられた。
そんな西武を横目に出てきたのが、1戦必勝の戦いを続けていたロッテだった。
5月は8連勝を含め17勝5敗という圧倒的な数字を残し首位に立った。
育成枠から這い上がった西野勇士ら先発陣が役目を果たし、セットアッパーを務めたルーキーの松永昂大、ストッパーの益田直也につなぐ形が確立されていた。
特筆すべきは、接戦・逆転勝利が多かったことだ。
まるでシーズン終盤であるかのように、救援陣が連日マウンドに上がり、試合の最後まで諦めない戦いぶりを見せていた。