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パの天王山、ロッテが楽天に先勝。
トラブル続出の空気を変えた“雨”。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/09/11 12:35

パの天王山、ロッテが楽天に先勝。トラブル続出の空気を変えた“雨”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

首位決戦3連戦の初戦を快勝した伊東勤監督。パ・リーグのペナント争いは、まだ終わらせない。

「この3連戦で選手たちは“男”にならないと」

 思い切った策を打ってのこの1勝が、チームにもたらしたインパクトはとても大きかった。それだけにこの勢いが継続できるのかという点で、次の戦いも非常に重要になっていた。西武に2連勝して天王山を迎えるというのが、優勝争いに最後の望みをかけたいロッテにとって絶対に必要な条件だったのだ。

 だからこそ、ミスから序盤に4失点という最悪の展開からノーゲーム、翌日の試合を制したという流れは、ロッテにとって単なる1勝以上の意味を持ったのだ。

 楽天戦からは齊藤コーチも復帰した。そのこともふまえ、伊東監督は試合前、楽天戦に臨む心構えをこう話していた。

「齊藤コーチにはブルペンを担当してもらおうと思う。選手たちにとっても心強い存在であると思うしね。楽天には前回やられて、ダメージは大きかったけど、何とか巻き返してきた。この3連戦で選手たちは“男”にならないと――それくらいの気持ちで戦って欲しい」

「男になる」という言葉が意味する覚悟。

 先発した唐川侑己が、今季一番のピッチングを見せる。初回は2死から銀次に二塁打を浴びるも、4番のジョーンズをセカンドゴロに打ち取って幸先良いスタートを切った。

 するとその裏、先頭の角中が左翼線二塁打を放って出塁。2番・根元俊一の二塁ゴロで角中は三進、3番・井口が左翼に犠牲フライを放ち1点を先制した。2回裏には、先頭のサブローがバックスクリーン横に飛び込む豪快な一発。続く鈴木が出塁すると荻野がバントでつなぎ、今江の代役・細谷が「代役という気持ちで試合には出ていない」という強い気持ちを見せ、特大の2点本塁打を放ったのである。

 7回裏にも打線が爆発。鈴木が左安打で出塁すると、荻野が犠打でつなぐ。死球、四球で塁が埋まったあと、角中が中前適時打を放ち1点。続く根元が、プロ入り初となる満塁本塁打。試合は決まった。

「男になる」というのが試合後の、広報発表のサブローのコメントだった。

 この言葉は、この日のナインに共通のものだったようだ。

 特大本塁打のサブローだけでなく、細谷は左手の甲に「漢(おとこ)」と書き記していた。

【次ページ】 一時期はCS圏内からも転げ落ちるかと……。

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