サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
“本気のウルグアイ”に喫した4失点。
9月の2試合を守備的に戦うべきか?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/08/16 11:45
試合後に本田は「(吉田)麻也や今ちゃん(今野泰幸)は責任感が強い2人だから。ここで皆してあまりネガティブなことを書かずに……(彼らも)反省していると思うからね」と、守備陣をかばった。
守備ラインはバラバラになり、その対処法も定まらず。
1失点目の場面を、吉田はこのように振り返っている。
「スアレスは僕よりも後ろにいたので、蹴った時点でオフサイドかなと思ったけど、コンちゃん(今野)が残っていた。そこのズレを修正しないといけない」
スピードのない吉田の場合、裏を取られたらそれは即ピンチにつながる。そうならないためにはラインの上げ下げをこまめにしっかりと行うことや、相手の動きを予測する作業が不可欠になる。
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だが、この失点場面はあまりに対応が軽すぎた。駆け引きでも完全に相手FWにのまれてしまい、ラインはバラバラになり、押し込まれては簡単に下がっていた。
これでは勝てる試合も勝てなくなる。指揮官は再三にわたって「守備的にするつもりはない」と言っているし、「引いて守りたくない」というのは'10年ワールドカップで守備的布陣を経験した本田圭佑や長友、長谷部誠らの思いでもある。その信念を貫くためには何が必要なのか。より強い「個」が必要なのか、あるいは、引かずとも別のやり方が必要なのか。とにかく守備については早急に手を打たなければならない。
1トップ、サイドバック、ボランチは、良い感触が得られたが……。
コンフェデと東アジアカップを終えて新しいステージに入った今回、ザッケローニ監督がまず最初に着手したのは“1トップ”の再考だった。
所属チームで不振にあえぐ前田遼一、7月に負傷したハーフナー・マイクの常連組を外し、東アジアカップで3ゴールをマークした柿谷と豊田陽平をメンバーに入れ、柿谷を先発で、豊田を途中交代で使った。
サイドバックに関しては、右の内田篤人、左の長友を軸としながら、酒井宏樹、酒井高徳、駒野友一、槙野智章ら、他のポジションと比べても多くの選手が試されてきた。左の長友の敵はケガだけ。右も結果的に内田に収まりつつあるというのが今の流れだ。
遠藤保仁&長谷部のダブルボランチについては根本部分は依然手つかずだが、このポジションは交代出場というスタイルでも試せる。今回は東アジアカップ組から山口螢、青山敏弘が招集され、山口は途中から出場を果たした。今後も新戦力に対してはある程度のチャンスが与えられていくだろう。
このように多方面から考えても、9月6日のグアテマラ戦、同10日のガーナ戦では守備をどうするかに注目が集まることになる。
奇しくも吉田はウルグアイ戦の前日にこう言っていた。
「FWがなかなか定まらないというのはチームの中にあると思う。ただ、それはセンターバックも一緒。今回のように新しい選手が入って、入れ替えや競争が激しくなるのはチームにとっても自分にとっても重要だ」