ネイマールはどんな形でチームに組み込まれたか。

　それでは攻撃面はどうか。一番の注目は、ネイマールがどんな形でチームに組み込まれるのかという点だった。

　ネイマールは途中出場だったが、この日は初めてメッシとともにプレーし、ふたりが絡む攻撃もあった。左のネイマールから右のメッシへとサイドチェンジが通った際にはカンプノウに大歓声が沸いた。ピッチ上では互いに探し合うなど、今後に向けてはポジティブな印象を受けた。ネイマールはセスクのゴールをアシストしており、ひとまず結果も出している。

ボールを奪われた後、相手を追わなかったネイマール。

　ただひとつ気になったのは、ネイマールがボールを奪われた後に相手を追わなかった点だ。前述のように、新生バルサとマルティーノ監督の哲学は、プレスへの回帰にある。しかしネイマールはゆったりとしたリズムでプレーし、アレクシスやペドロのように前から相手を詰めていくような激しさを見せることはなかった。この点は今後改善しなければ、現バルサの中では浮くことになるだろう。

　本人が「コンディションを上げなければ……」と試合後に語ったように、状態も万全ではないのだろう。軽い貧血を抱えていて、思い切り走れる状態ではなかったのかもしれない。ドリブルやヒールパスでカンプノウを沸かせるなど、技術的にはチームにさらりと溶け込んだだけに、あとはコンディションを上げ、プレスの局面でどれだけバルサのメカニズムに融合できるかだ。

　もうひとつ、攻撃面でキーワードとなるのは縦への速さだ。マルティーノ監督は次のように語っている。

「バルサはボールを大事に回すことはできる。しかし、そこに縦への長いボールも組み入れるようにしたい」

【次ページ】　マルティーノ監督が目指す、バルサらしさからの脱却。