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日本球界に必要なのは豪腕型のボス!?
MLBコミッショナーの統治力と緊張感。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2013/06/21 10:31
オールスター戦の概要を説明するバド・セリグ氏。今年はじめには、MLBとしての将来の目標として「アメリカと日本の王者が対戦するような大会を実現させたい」とも語っていた。
パド・セリグは常に緊張を強いられる立場だが……。
ただし、MLBのコミッショナーは白紙委任状を渡されているわけでもないし、裸の王様でもない。あらゆる方面から、緊張を強いられる立場にある。
禁止薬物への取り組みについても、選手会は協力の姿勢を見せながらも、選手の権利の保護を重視している。コミッショナーとしては、うまくコトを運ぶ必要がある。
そしてまた、6月18日にはカリフォルニア州のサンノゼ市から、メジャーリーグ機構がアスレチックスの移転を妨害しているとして、訴えられている。
アスレチックスは、サンノゼへの移転を長い間計画しているが、サンフランシスコ・ジャイアンツの商圏を犯すおそれがあり、実際、ジャイアンツのマイナーチームはサンノゼに本拠地を置いている。
しかし、この案件に関してはオーナー会議で賛成多数であれば覆すことが可能であり、サンノゼ市側からすれば、コミッショナーがこの問題でオーナー会議を招集したことがないこと自体、移転を妨害しているものだと考えている。そこで市側は行動を起こした。
この件を見ても、コミッショナーは球団、選手会だけでなく、自治体に対しても一種の緊張関係にあるのが分かる。
日米の最大の違い、私はこの「緊張感」の有無にあると思っている。
いい意味での緊張感が、仕事に反映されていると私は思う。