野球善哉BACK NUMBER
マウンドに立つ背番号「90」と「70」。
楽天・宮川、ヤクルト・八木の再出発。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNanae Suzuki
posted2013/06/19 12:40
二軍時代からのファンも多い八木。好投が報われず完封負けを喫することも多いが「味方が0点の時は、自分も0点に抑えなければいけないんです」とコメントしている。
「背番号を変えるなら『34』。そこにはこだわりたい」
入団時は期待されながら、背番号変更という憂き目に遭い、「こんなはずじゃない」と思ったこともあったはずだ。それでも、ここまで這い上がって来た。
とはいえ、ここが八木の到達点ではない。当然、背番号への想いもある。
「今は、僕が投げるとチームのみんなは不安に思っていると思うんです。八木が投げるから、早く点を取らないといけないとか、守備はエラーできないとか。そうじゃなくて、誰からも信頼されるようになりたいですね。八木が投げたら大丈夫だってピッチャーになりたい。『34』を、もう一度つけさせてもらいたいという気持ちはあります。でも、『34』じゃないなら、今のままでもいいかな。また変えるなら『34』。そこにはこだわりたい」
ゴールデンルーキーの2人のように、騒がれる選手ではない。
いまだ、日陰の道を一歩ずつ歩いているというのが、今の宮川と八木の現状なのかもしれない。これまで抱えてきた想いがいつの日か、実を結ぶと信じて……。