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“ルール違反”統一球に自身の署名。
加藤良三コミッショナーの責任を問う。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS /AFLO

posted2013/06/23 08:01

“ルール違反”統一球に自身の署名。加藤良三コミッショナーの責任を問う。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS /AFLO

結局釈明に終始するだけで真相不明だった、記者会見での加藤コミッショナー(右)と下田事務局長(左)。昨年夏のコミッショナー再選でのゴタゴタを考えると、想定された不祥事だったのかもしれない。

 球界は統一球問題で揺れに揺れている。

 日本野球機構(NPB)が、今季から統一球のスペックを飛ぶように変更しながら、その事実を公表していなかった問題で、加藤良三コミッショナーの責任を問う声が大きく湧き上がっている。

 これは当然と言えば当然の論議だろう。

 スペックを変えていた事実を公表していなかったというNPBのアンフェアな行為はもちろんだが、悪質なのはボールの変化に対する質問に「従来と変わっていない」とウソの回答をしていたということだ。また、問題発覚直後の会見での「私は知らなかった」「不祥事ではない」という加藤コミッショナーの発言は、これに輪をかける失態以外の何ものでもなかった。

 その後、6月14日の12球団代表者会議後の会見で、加藤コミッショナーは慌てて「失態だった」と反省の意を表した。それでも自らの進退については明言を避け「第三者機関から意見が出れば留意するでしょう」と、まるで他人事のような受け答えで、半ば居座りを決め込んでいるようなのである。

 プロ野球界への信頼という面から考えると、NPBの行なった行為とその後の対応は、重大な不利益行為であり、それだけでも加藤コミッショナーが退陣する理由は十分にあるのだが、このボール問題はもう一つ、本質的かつ重大な過ちを抱えている。

規定外のボールを使用するのはアグリーメント違反だ。

 それはそもそも統一球を導入した時点で、コミッショナーとNPBが“ルール違反”を黙認していたということだ。

 プロ野球は、3つの約束事から成立しているスポーツであり興行である。

 1つは野球協約で、これは日本のプロ野球の憲法のようなものとなる。2つ目は公認野球規則。これは記録やグラウンド上のルールを定めたものである。

 そして3つ目がアグリーメントで、ここではプロ野球を運営していく上での約束事が定められている。

 例えば優勝争いで勝率が同率になった場合は、どういう方法で優勝チームを決めるのか。これを定めているのもアグリーメントだ。延長制度を12回打ち切りにするとか、3時間を越えて新しいイニングに入らない、などという規定もここで定められている。

 日本のプロ野球を運営していく上で必要な約束なので、例えばルール上は基本的には延長戦は無制限だが、このアグリーメントの規定が優先されて、今は12回で決着がつかない場合は引き分けとされているわけである。

 そして問題のボールの反発係数については、アグリーメントでは0.4134から0.4374の間と明記されている。要は0.4133以下の反発係数のボールは、アグリーメントによって使用できないことになるわけだ。

【次ページ】 反発係数の下限を12球団、選手会の同意を得ずに改訂。

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