セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
笑った者と泣いた者の明暗くっきり。
“婚活”のようなセリエ監督交代劇。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2013/06/05 10:31
ナポリを強豪へと復活させたマッツァーリ監督。来季からは“新居”のインテルで指揮をふるう。
ミランの選手達によるアッレグリ支持宣言まで飛び出す。
加えてオーナーは、ボタフォゴ(ブラジル)で現役を続けるOBのMFセードルフを後任に据える自慢のアイデアを披露。しかし、セードルフが受講中だというオランダ協会認定の監督ライセンスはオンライン講座によるもので、イタリアでは無効、というオチがついた。
FWバロテッリら選手たちは、口々にアッレグリ支持を表明。現指揮官の手腕を誰より高く評価する“仲人”役のガッリアーニ副会長が、政争に明け暮れるオーナーと怒り心頭のアッレグリとの仲裁に奔走した末、6月2日の和解ディナーにこぎつけると、アッレグリの続投がようやく確定した。
これで、慌てふためいているのがローマだ。もともと意中の人だったマッツァーリにはあえなく振られ、ミランとの別離目前だったアッレグリへ猛アプローチするも、待った甲斐も虚しく袖にされた。
感傷的になっている暇はないが、ブラン(前フランス代表)やガルシア(リール)、ライカールト(元バルセロナ)など、候補者の名前だけは挙がるものの、バルディーニGMとサバティーニSDらローマのフロントは、押しに欠ける。インテルとナポリの例を見ても、監督探しの“婚活”で、出遅れは禁物なのだ。
「ナポリを去ると決めたときは、胸を締め付けられる思いがした。だが、タンスの中身を空けて、古い家を出るときが来たのだ。人生には前を向くことが必要だ」
新天地ミラノで、インテルとの“新婚”生活を始めたマッツァーリは、もうサンシーロ近くの新居を探している。