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ドイツ杯決勝バイエルン戦を前に――。
岡崎と酒井が振り返る葛藤の1年。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2013/06/01 08:03

ドイツ杯決勝バイエルン戦を前に――。岡崎と酒井が振り返る葛藤の1年。<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

ドイツ杯準決勝フライブルク戦での岡崎(左)と酒井。6月1日のドイツ杯決勝から3日後に行なわれるW杯最終予選オーストラリア戦には、強行日程での合流が予定されている。

 ドイツの今シーズンは、まだ終わっていない。

 日本国内では代表ムードが漂い、ヨーロッパ全体を見渡しても、チャンピオンズリーグが終わったためにシーズンが終わったかのような気配に包まれている。そんな中で、今夜6月1日夜、ドイツサッカーの1年を締めくくるドイツ杯決勝戦が控えている。

 クラブ史上初めての3冠をかけたバイエルンに挑むのが、岡崎慎司と酒井高徳という2人の日本代表を擁するシュツットガルトだ。

 リーグ戦は12位に終わったシュツットガルト。ドイツ杯では、1部所属チームとの対戦が準決勝のフライブルク戦だけと組み合わせにも恵まれ、新欧州チャンピオンと対戦する権利を手にしていた。バイエルンは、コンフェデ杯ブラジル代表に選ばれたダンテとルイス・グスタボが欠場することになったが、大勢に影響はないだろう。

 酒井はこの一戦を前に、意外な事実を明かす。

「俺、プロになってからというか、そもそもサッカーをやってきて、決勝戦を戦うのはこれが初めてなんです(笑)。もちろん色んなトーナメントを戦ってきたことはありますけど、少年団でも、ユースでも、決勝に出たことは1度もないです」

ブンデス最終節でミスが目立った酒井の先発出場は?

 今シーズンに酒井は、シュツットガルトの不動の右サイドバックとしてリーグ戦で27試合、ヨーロッパリーグではプレーオフも含めて10試合、ドイツ杯では3試合、合計40試合を戦ってきた。欧州の主要リーグで今季もっとも多くの試合に出場した日本代表選手である。

 ところが、ブンデスリーガ最終節、マインツとの試合ではミスが続き、後半42分に交代を命じられている。試合後は、シュツットガルトに来てから初めて、出場した試合について語ることなくスタジアムを後にするほど落ち込んでいたという。『キッカー』誌などはそれでも、今夜のドイツ杯決勝では酒井が先発すると見ているが、酒井ではなく、本職はセンターバックのルディガーを右サイドバックに回すのではという見方もある。

 マインツ戦から約2週間を経て、酒井はこう振り返る。

「自分のなかではとても満足できない試合をしてしまったというのがあって……。交代させられるまでの過程に対して、自分自身にも腹が立っていました。試合後すごくブスッとした態度でいたら、ゲオ(ニーダーマイアー)が、『おまえは1人じゃないから』って感じで寄ってきたんですけど、そのときはそっとしておいてほしかったので、『やめてくれ』って、ちょっと突き放すような感じで答えちゃったんです」

【次ページ】 ラバディア監督の指示に困惑し続けたシーズン。

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