フットボール“新語録”BACK NUMBER
欧州サッカーにハリウッドが進出!?
ユーロの舞台裏を仕切るCAAの野望。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2013/06/02 08:02
フランスで行なわれるユーロ2016について会見を行なう、UEFA会長のミシェル・プラティニ。2002年からUEFAの理事を務めており、2007年に会長に就任した。
「スポーツの世界に関与することは、SOCARにとって大いなる誇りだ」
エルシャド・ナシロフ(アゼルバイジャン国営石油会社『SOCAR』のマーケティング・投資担当副社長)
今季のヨーロッパサッカー界における最大のトピックスは、CLの決勝で史上初のドイツ勢対決が実現したことだろう。バイエルンがドルトムントに2対1で勝利し、12年ぶりにブンデスリーガのクラブに国際タイトルがもたらされた。ドイツサッカーが競争力を取り戻したことで、ヨーロッパサッカー界は新たな戦国期に突入しようとしている。
だが、地殻変動が起こっているのは、ピッチ内だけではない。ピッチ外のサッカービジネスにおいても、新たな勢力が台頭してきた。
5月中旬、スイスに行ったときのことだ。ヨーロッパのスポーツビジネス業界で働く友人が、こんなトピックスを教えてくれた。
「つい先日、アゼルバイジャンの国営石油会社が、ユーロ2016のスポンサーになることが決まったんですよ。ヨーロッパのサッカービジネスを考えるうえで、すごく興味深いニュースだと思います」
5月17日、アゼルバイジャンの国営石油会社『SOCAR』が、ユーロ2016の本大会とその予選、そして2018年W杯の欧州予選の公式スポンサーになることが発表された。コカ・コーラ、アディダス、マクドナルド、現代-起亜、コンチネンタル、カールスバーグとともに、スタジアムの看板にSOCARの名が入ることになる。
ヨーロッパサッカーは世界的知名度を得る絶好の舞台。
特定の地域のみでしか知られていない企業が、資源マネーを投じてヨーロッパサッカーの舞台で知名度を上げる――。チェルシー、マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンといった人気クラブで見られた流れが、ついにユーロのスポンサーにも及んだのである。
すでにCLにおいては、今季からロシアの天然ガス会社『ガスプロム』が公式スポンサーになっていた。同社の狙いのひとつにロシアのイメージアップがあるように、今後SOCARもアゼルバイジャンの知名度アップに貢献していくだろう。
UEFAの公式HPにおいて、SOCARのマーケティング・投資担当副社長のエルシャド・ナシロフはこう語った。
「この将来を見据えたプロジェクトに参加できることに興奮している。スポーツの世界に関与することは、SOCARにとって大いなる誇りだ」