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伊東監督の冒険采配でロッテ快進撃!
今こそ進言したい次代のチーム作り。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/05/31 10:31

伊東監督の冒険采配でロッテ快進撃!今こそ進言したい次代のチーム作り。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

伊東監督は若手を大胆に抜擢するなどチームを変革させ、低迷が続いていたロッテを今季、見事に復活させた。

野球人生の王道を歩みつつも采配は冒険心に富む。

 若手の抜擢が口で言うほど簡単でないことは現在のプロ野球界を見ればよくわかる。たとえば、5年連続してセ・リーグの最下位を低迷しているDeNAは、はなから優勝の期待がかけられていないのでチームの若返りには絶好の環境にあるが、中心選手はブランコ、中村紀洋、多村仁志ら移籍してきたベテランが多く、将来の主砲の期待がかかる筒香嘉智はファームで4番を打っている。

 DeNAだけではない。中日、阪神、オリックスなど新旧交代を後回しにし、ベテランを中心としたチーム作りを実践している球団は少なくない。そういう中で伊東氏の若手抜擢路線はかなり目を引く。

 '07年限りで西武監督を辞め、それ以降は第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表総合コーチを務め、日本チームの2連覇に貢献している。現役時代はプロ3年目の'84年から'02年まで19年間、西武黄金時代の正捕手としてマスクをかぶり続け、14回のリーグ優勝、7回の日本一に大きく貢献している(実働は'82~'03年までの22年間)。

 これらの経歴から私たちは伊東氏に対するイメージを「保守的」と捉えがちだが、西武の監督として4年間やってきた内容は、冒頭で紹介したように冒険心に富んでいる。そして、ロッテ監督として指揮を執る現在もこの冒険心は健在なのである。

ファームで燻る若手を抜擢し、戦力に仕立て上げた。

 ロッテの躍進する若手選手の昨年と今年の成績を比較してみよう(以下成績は5月27日現在、★印はファームでの成績)。

◇西野勇士(投手・22歳)
'12年……★11試合、1勝2敗、防御率3.94
'13年……8試合、5勝1敗、防御率2.47

◇大嶺祐太(投手・25歳)
'12年……★24試合、1勝1敗1セーブ、防御率4.03
'13年……5試合、3勝1敗、防御率1.65

◇江村直也(捕手・21歳)
'12年……★32試合、打率.210[62打数-13安打]、0本塁打、5打点
'13年……29試合、打率.200[50打数-10安打]、0本塁打、4打点

◇細谷圭(内野手・25歳)
'12年……19試合、打率.130[23打数-3安打]、1本塁打、3打点
'13年……40試合、打率.231[39打数-9安打]、0本塁打、2打点

◇加藤翔平(外野手・22歳) ※ドラフト4位新人
'13年……8試合、打率.273[11打数-3安打]、1本塁打、1打点

 前年、鳴かず飛ばずの若手を抜擢して戦力にしている様子が手に取るようにわかる。精神的に弱いと言われる大嶺などはカーブを交えた緩急で勝負するピッチングスタイルを身につけ、3年ぶりの勝ち星を挙げている。伊東監督が推し進める若手抜擢の波に乗った結果と言えなくもない。

【次ページ】 育成枠、ドラフト下位指名の若手の実力を見抜いた慧眼。

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