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伊東監督の冒険采配でロッテ快進撃!
今こそ進言したい次代のチーム作り。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/05/31 10:31
伊東監督は若手を大胆に抜擢するなどチームを変革させ、低迷が続いていたロッテを今季、見事に復活させた。
実力が拮抗する外野陣を日替わり起用で競わせる。
伊東采配のユニークさは他の部分からもうかがえる。5月14、15日の対巨人2連戦、17日のヤクルト戦、23日の阪神戦を見て回ったが、面白かったのは外野手の起用法である。
5/14 左翼/サブロー、中堅/加藤翔平、右翼/荻野貴司
5/15 左翼/荻野貴司、中堅/岡田幸文、右翼/清田育宏
5/17 左翼/荻野貴司、中堅/伊志嶺翔大、右翼/清田育宏
5/23 左翼/荻野貴司、中堅/伊志嶺翔大、右翼/清田育宏
4試合で6人の外野手がスターティングメンバーで起用されているのだ。ロッテにはレギュラークラスの外野手が密集していて、6人以外でもWBC日本代表メンバーで昨年の首位打者、角中勝也が故障復帰後のレギュラー奪取をもくろんでいる。実力派が密集している外野陣の力をきちんと把握したいという思いがこの起用には現れていると思う。
若手の層が薄いロッテはドラフト戦略を見直すべき。
この若手抜擢に非凡な才能を見せる伊東監督に、フロントは起用に耐え得る若手をもっと多く獲得するべきである。実はロッテには厳密な意味での若手は少ない。
育成選手を除く66人中、25歳までの選手は22人いて、この数はパ・リーグの中で5番目と多くない。
1位日本ハム27人、2位ソフトバンク26人、3位楽天24人、4位西武23人、5位ロッテ22人、6位オリックス15人
この若手たちの平均年齢は次の通りだ。
1位ソフトバンク22.08歳、2位楽天22.25歳、3位オリックス22.27歳、4位日本ハム22.48歳、5位西武23.17歳、6位ロッテ23.36歳
ロッテは、若手と言われる選手たちの平均年齢が高いこともわかる。たとえば現在24歳の藤岡貴裕、唐川侑己、益田直也、鈴木大地や25歳の大嶺、松永、伊志嶺は3年後には若手ではなく中堅と言われる年齢になる。彼らに代わる若手がチームには必要になるが、3年後も25歳までの年齢ゾーンにいる選手は7人しかいない。そしてその7人の中にドラフト1、2位の上位指名選手は川満寛弥(22歳)しかいない。危機管理が十分とは言えないのではないだろうか。