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<特別インタビュー>
謙虚でポジティブな男、細貝萌の決意。
「強い相手の時ほど、自分は活きる」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2013/05/28 10:30
「守備をベースにした戦い方が必要になってくる強豪国相手にこそ、ボランチで勝負したいという気持ちがあるので」と、ボランチというポジションへの意欲を語っていた細貝。
シャルケ戦ではベストイレブンに選ばれる活躍も。
――このバイエルン戦以降、左サイドバックのレギュラーとして定着していくことになります。チェコ代表カドレツのケガでチャンスを掴んだわけですが、11月にポーランド代表のボエニシュが加入してきてもその座を渡さなかった。特に印象深かったのが、ファルファンに仕事をさせなかったシャルケとの一戦(11月17日)です。
「やられたシーンもあって課題は残りましたけど、対人プレーを含めて全体的には良くできた試合かなと思っています。あの試合、相手のサイドバックがあまり上がってこなかったので、ファルファンにやられないことだけを考えました。ウッチー(内田篤人)が出ていたら高い位置を取ってきてファルファンと2対1をつくられて厳しかったかもしれませんけど」
――ファルファンがうまくいかなくて、ちょっとイライラしているようにも見えました。
「ミーティングではファルファン特集じゃないけど、ファルファンがドリブルで仕掛けたりとか、いろんな場面を出しながら(シャルケの)ストロングポイントはここだという話がありました。マッチアップするのは自分なので、対ファルファンのイメージをしっかり持って、意識して試合に入ったつもりです。
彼に対して最初タイトにガツガツと守備をやったので、(ファルファンは)かなりカリカリしてましたね。自分に文句を言いに来たりしましたから。でもディフェンス側としては、相手が嫌がってるというのは重要なこと。これを続けていけばいいんだと思いましたね」
――このシャルケ戦ではキッカー誌のベストイレブンにも選ばれています。
「選ばれたのは嬉しいことですよ。ただ僕の場合、たとえ自分の前のポジションでプレーするシュールレが「2」で、僕が「4」だったとしても、シュールレが攻撃で活躍することに意義があると思ってます。それがチームのためになると思っているので」(注・ブンデスリーガでは最高点が「1」、最低点が「6」で採点)
攻撃面の選手が活躍すれば、後ろで守っている自分も嬉しい。
――今の話から、細貝選手がこのチームで描いたサイドバック像が見えてくるような感じがします。攻撃面で重要な選手のシュールレですが、守備はちょっと苦手そうにも見えますが。
「シュールレは基本的に、攻撃にすべての力を注ぎたいと思っている選手だと思うので、極力、彼がなるべく守備を考えないで攻撃面でどれだけ活きるかということをテーマにしてサイドバックをやってきました。彼がやりやすかったり、攻撃で活躍してくれることがチームにとって意義があるというか。
シュールレが活躍した試合では、後になって自分のところまで来て、感謝の言葉を言ってくれたこともあります。僕は自分のサイドでかなりやられてしまってちょっとへこんだこともありましたが(笑)。でもそういうふうに言ってくれることで、やっぱり良かったんだなって思える。彼が活躍してくれれば、後ろから守備の面で支えている自分としては嬉しい限りでしたね」