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ファーガソンの正統的後継者として。
名将とモイーズ監督をつなぐ“血脈”。
text by
鈴木英寿Hidetoshi Suzuki
photograph byAFLO
posted2013/05/14 11:45
プレミアリーグにおいて、ファーガソン(27年間)とベンゲル(17年間継続中)に次いで、同一クラブで3番目に長く(エバートンで11年間)監督を務めていたモイーズ。
モイーズに目をかけたのは、当然の成り行きだった!?
今季のチャンピオンズリーグでセルティックがバルセロナを破った際、ニール・レノン監督(北アイルランド)は「この勝利はファーガソンに教えを受けたおかげ」と語っている。
バルサ戦の数カ月前、グラスゴーの家族のもとを訪れたファーガソンは、セルティックのクラブハウスを訪れ、レノン監督とコーチングスタッフに2時間に渡り様々なアドバイスを与えたという。濃密なフットボール談義が終わった後、セルティックのコーチングスタッフは「ファギーの知識に脱帽だった」。
ファーガソンは現役時代の終盤にセルティックのライバル、レンジャーズでプレーしたキャリアの持ち主だ。それにもかかわらず、同郷の指導者には惜しむことなく、知識とノウハウを与えている。そのファーガソンが、自分と同じアマチュアクラブ出身で、同じ“グラスゴー派”に属するモイーズに目をかけるのは、当然の成り行きだった。
「1980年代後半、スコットランドでは最先端の戦術を教えていた」
イングランドの3部リーグに当たるリーグ1のプレストン・ノースエンドで監督業を始めたモイーズは、ことあるごとにファーガソンの教えを受けてきた。
1998年にマンチェスター・ユナイテッドのコーチのオファーを直々に受けたが、モイーズはこれを断り、プレストンの仕事を選択している。その後、2人は事あるごとに連絡を取り合ってきた。過去4度のトップリーグ優勝を誇る古豪シェフィールド・ウェンズデイからオファーが来た時も、モイーズはファーガソンに相談している。この時、「行かないほうがいい」という名将の教えを守り、プレストンで地道に研鑽を積んだ結果、モイーズは2002年にエバートンの監督オファーをつかみとったのだ。
ここで気になるのは、“グラスゴー派”とは一体どのような指導者のグループなのか、ということである。
それは、モウリーニョの「1980年代後半、スコットランドでは最先端の戦術を教えていた」という言葉がヒントになる。そう、ポルトガル人である「特別な男」はスコットランドサッカー協会の認定により、UEFAプロライセンスを交付されているのだ。