グラスゴー派の正統的後継者に「選ばれし者」として。

　最先端の戦術、ビデオ分析による対戦相手の緻密な研究、そして的確なゲームプランの遂行。モウリーニョの特徴と言えるこれらの指導スタイルは、そのままモイーズにも当てはまる。何しろモイーズは、『マネーボール』で有名になったMLBの名物GMビリー・ビーンがイングランドを講演で訪れた際、熱心にその話に耳を傾けた人間である。科学的アプローチにどれだけ熱心であるか、このエピソードだけでも想像がつくだろう。

　セルティック時代のチームメイト、フランク・マクガーベイは「デイビッドは持てる全てを投げ打つタイプの選手だった」と証言。選手としてファーガソンもモイーズも知るフィル・ネビル（元マンチェスター・ユナイテッド、今季はエバートン）は「モイーズ監督ほど仕事熱心な人を知らない。本当に仕事ばかりしている」と舌を巻く。

　サー・マット・バスビーとサー・アレックス・ファーガソン。2人の名将は、最先端の知識と戦術を駆使して、誰よりもハードに働き、極上の結果を残してきた。

　そしてデイビッド・モイーズ。「選ばれし者」はグラスゴー派の正統的後継者として、マンチェスター・ユナイテッドの新たな歴史作りに挑もうとしている。