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ドルトムントを去るゲッツェは、
“バイエルンのメッシ”になれるか!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2013/05/03 08:02
CL準決勝ではゲッツェのバイエルン移籍報道の影響もなく、ドルトムントはレアル・マドリーを2試合トータルで4-3で下し、決勝進出を決めた。バイエルンもバルセロナを合計7-0で下し、ドイツ勢同士のCL決勝が実現した。
後手に回ったドルトムントの契約への対応が明らかに。
ドルトムントは、9シーズンぶりのリーグ優勝が見えてきた2010年の年末から主力選手たちとの契約延長プロジェクトを進めてきた。この間に延長に応じたのは、フンメルス、スボティッチ、シュメルツァー、ピシュチェク、S・ベンダー、ブラシュチコフスキ、グロスクロイツなど、ほとんどすべての主力選手だ。さらに、この間にクロップ監督とは2度(1度目が2014年6月30日まで、2度目が2016年6月30日まで)の契約延長で合意している。
契約延長で合意できなかったのは、サヒンと香川だけだ。もっとも、サヒンはレンタル移籍という形で今シーズンの後半戦からドルトムントへ戻ってきた。
だが、ゲッツェの契約解除条項によって、ドルトムントの契約延長プロジェクトが実は、盤石なものではないことが白日の下に晒されることになった。
ロイスとの契約にもゲッツェ同様の契約解除条項が。
ゲッツェのケースを見ると、昨年の契約延長の段階で、年俸は、それまでの150万ユーロ(推定。以下同)から出来高込の600万ユーロまで大幅に上がった。これはドルトムントとゲッツェが長期にわたりともに歩んでいくという意思表明だと思われていたのだが、3700万ユーロを払うクラブが現れれば無条件で契約解除できるという、選手側に圧倒的に有利な条件が設定されていたことが明らかになったのだ。クロップ監督もこう認めている。
「あの条項がなければ、昨年の契約延長は達成されなかっただろうね」
ゲッツェと同じくシュトゥルトが代理人を務めるロイス。今季からドルトムントでプレーする彼は2017年6月30日まで契約を結んでいるのだが、2015年の7月1日以降は2500万ユーロの契約解除金を支払うクラブが現れれば自由に移籍できるという条項が存在しているという。
ゲッツェ移籍に伴い、多くの選手の契約に契約解除条項がもりこまれているかどうかが、現在、ドイツでは話題になっている。例えば、ドルトムントがゲッツェの後釜に考えていると報道されたシャルケのドラクスラーや、今オフの移籍が見込まれるレバンドフスキの場合にはそうした条項はないと言われている。