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ドルトムントを去るゲッツェは、
“バイエルンのメッシ”になれるか!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2013/05/03 08:02
CL準決勝ではゲッツェのバイエルン移籍報道の影響もなく、ドルトムントはレアル・マドリーを2試合トータルで4-3で下し、決勝進出を決めた。バイエルンもバルセロナを合計7-0で下し、ドイツ勢同士のCL決勝が実現した。
ドイツ第2のクラブでも、バイエルンにはいまだ届かず。
ゲッツェやロイスとドルトムントとの契約にそうした条項が存在しているのは、シュトゥルトの手腕もさることながら、世間で考えられているほどにはドルトムントが契約の場でイニシアチブを握れていないということを示している。
ドルトムントの収入は、近年は増加の一途をたどっており、2011-12シーズンの収入は約2億1500万ユーロで、前のシーズンよりも42%も増えていた。バイエルンに次ぐ、ドイツ第2のクラブという座を確固たるものにした感はある。
約3億8600万ユーロのバイエルンに収益は及ばなくても、ドルトムントにはクロップという稀代の監督と、ドイツで最も熱狂的で温かいファンがいるからこそ、バイエルン以上に魅力的なのでは、という声もあった。だが、ゲッツェの移籍によって両チームの差はことのほか大きいことがわかってしまった。ローマは1日にしてならず。今のドルトムントにはそんな言葉がぴったりなのかもしれない。
ゲッツェ獲得は次期指揮官グアルディオラの意向か?
では、今回の移籍劇をバイエルン側から見ると、どうなるだろうか。
リーグ戦3試合を残した時点でブンデスリーガ史上最も多くの勝ち点を稼いでいるチームとなったバイエルン。勝っているチームはいじるなという格言に逆らうように3700万ユーロを払ってまでゲッツェを獲得したのは、来季から指揮をとるグアルディオラが獲得を強く希望したからだと言われている。
今年の1月23日にグアルディオラが獲得選手のリストをバイエルンのザマーSDに提出。そこにゲッツェの名前が入っていたから、今回の移籍は実現したとされる。
しかし、他に、気になる動きもあった。昨年11月の時点で『スポーツビルト』誌が、ゲッツェとドルトムントの間に契約解除条項があることをスクープしているのだ(このときはドルトムントのツォルクSDは「契約内容についてコメントしない」と答え、否定も肯定もしなかったのだが、それがのちに真実だと明らかになった)。
そのスクープからおよそ1カ月後の12月20日にグアルディオラとバイエルンが来季からの契約で合意している。この交渉で、ゲッツェ獲得の可能性が高いというカードがバイエルンによってグアルディオラに提示されたと見ることもできる。