プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUの“便利屋”にはまだ早い!
主役を奪われたルーニーの未来は?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2013/05/05 08:01
ルーニー(奥)に関しては今夏のパリSGへの移籍が4月フランス、イギリス両国のメディアで報じられた。
4月中にタイトルレースが終了した今季のプレミアリーグ。マンチェスター・ユナイテッドが優勝を決めた第34節アストン・ビラ戦(3-0)では、2つの出来事が印象的だった。ひとつは13分のゴール、もうひとつは71分の選手交代だ。
そのゴールは、今季最高と言ってもよい。ロビン・ファンペルシ加入によるインパクトを象徴するものだった。
マンUの新FWは、背後から肩越しに落下するロングパスを左足でジャストミート。完璧なボレーシュートが、相手ゴールに突き刺さった。その11分前と20分後にもネットを揺らし、前半でハットトリックを達成したファンペルシは、ホームデビューを飾った第2節フルアム戦(3-2)での同点弾に始まり、自らのゴールでチームを優勝へと牽引した。
華麗なボレーは、タイトル獲得を求めてアーセナルから移籍した自身の夢と、王座奪回のキーマンというチームからの使命を果たしたことを、改めて世に示す強烈な一発だった。
今季のルーニーを「過去最悪の出来」と評価した国内メディアも。
そのゴールをお膳立てしたのは、ウェイン・ルーニーだ。
中盤で先発したルーニーは、ハーフウェイラインのやや後方から、ピンポイントの精度で1トップの頭越しにボールを届けた。フィニッシュと同様、今季最高級のアシストだった。だが、ロングパスの送り手は、マンU先発メンバーの中で唯一人、フルタイムを待たずに優勝のピッチを下りた。今季、ファンペルシに主役の座を奪われたルーニーは、ホームの観衆から拍手喝采を受けながらも、浮かない表情でベンチへと去っていった。
試合後、国内のメディアでは優勝メンバーの今季評価が報じられた。10点中9点と、チーム最高の評価を最も多く獲得した選手は、「原動力」と認められたファンペルシ。一方、ルーニーはというと、平均6点程度で、中には「過去最悪の出来」との寸評さえあった。
今季のルーニーは、それほど酷かったのだろうか?