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早くも独走態勢の構えを取る西武。
金子侑司は中島の跡を継げるのか?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/05/01 10:30
西武の背番号2を背負う新人・金子侑司はパンチ力のある打撃と俊足を武器に、好調・西武の牽引役となっている。
走塁意識の高さは特筆できるが、稚拙な守備が弱点。
西武には俊足が多いが、走塁に関して優等生揃いというわけではない。たとえば片岡治大は盗塁王に4回輝いているが、打者走者としては毎打席全力疾走をするタイプではなく、アウトと思ったら流して走る。栗山にもそういう傾向がある。しかし16日のオリックス戦は凡打のときでも流して走る選手がおらず、たとえば一塁到達5秒以上という不心得者は1人もいなかった。毎打席、全力疾走を怠らない金子の加入により、チーム内にゲーム参加の意欲が高まったと私は思っている。
いいことずくめだが、金子の弱点は遊撃守備である。試合ごとに目についた拙守を挙げていこう。
◇4月18日 オリックス戦
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5回、1死二塁の場面で李大浩が遊撃ゴロ。二塁走者・糸井嘉男は敢然と三塁に走るが、金子は一塁へスローイング。三塁に投げれば楽にアウトのタイミングだった。
7回、川端崇義が打った正面の強いゴロをはじいてエラー。
◇4月23日 ロッテ戦
3回、1死一塁の場面で角中勝也の正面のゴロをポロリ。
◇4月24日 ロッテ戦
7回、先頭打者・井口資仁の三遊間への深いゴロを捕り切れずヒットに。マウンド上の野上亮磨にとって、これがこの日許した初ヒット。落ち着いてプレーすれば井口の足ならアウトにできた打球。
同じ7回、1死二、三塁の場面で鈴木大地のゴロをさばくが、三塁走者のホーム生還に気を取られたのか一塁へ悪送球し2点目も献上する(記録はエラー)。
金子の守備の不安定さをベンチもわかっていて、ゲーム終盤には毎試合のように守備固めとして永江が起用される。野上のノーヒットノーランが進行していた試合なら、7対0で大量リードしていたので7回から永江に代えてもよかったが、こういう緊迫した試合ほど若手にはいい経験になる。野上には気の毒だったが、このイニングの起用法を見て、金子に対する首脳陣の期待の高さがうかがえた。