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2番打者は「つなぎ」だけではない!?
広島・丸、オリックス・川端らの役割。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/04/08 12:20
俊足巧打を誇るオリックスの川端。昨年は新人王の有力候補にも挙がったが、シーズンを通しての安定した成績が残せず、惜しくも選に洩れた。
投手に球を多く投げさせ、安打も生む、粘りの打撃を。
大学・社会人を経由しての、それも最下位指名からのレギュラー奪取。その道のりを考えれば、「反骨心」や「苦労人」といったフレーズが川端には当てはまるが、当の本人は全く意に介さない。
「ドラフトの順位が何位とか、僕には関係ないです。それは人が評価することですから。なかなかプロに行けなかったといわれますけど、その時いる場所で全力やってきた。全力疾走が自分のプレースタイルなので、それをプロでも続けていきたい」
川端は5日の西武戦での1打席目をこう振り返る。
「たしか、坂口も粘ってましたよね。それもあって、自分も簡単には終われないなと思いました。打席に入って考えるのは、少しでも相手投手に多くの球を投げさせようということです。その中でも、ただ投げさせるんじゃなくて、しっかり安打を打てるようにと思っています。後の打者が打ってくれて良かったです」
李の本塁打に自身の功績があったとまではもちろん言わないが、かといって、貢献していないという風でもない――これが彼のスタイルなのだろう。自らの全力プレーが単にひとりのものではなく、チーム全体の役に立っているということに確信があるのだ。「これからも全力疾走はやめるつもりはない」という言葉に、彼の揺るぎない信念が垣間見れる。
今季は、開幕こそベンチで迎えたが、2戦目にスタメンに名を連ねると、3戦目で5打数4安打と活躍。シーズン初勝利に貢献すると、それ以降、チームに欠かせぬ2番打者としてその座を確立している。自身の今季3戦目となる7日の西武戦では4回にダメ押しのタイムリーヒットを放つなど活躍。10-0の快勝の中でも、川端の果たす役割は大きかった。
今季の「2番打者」たちは、ひと味違うぞ!!
「2番打者」で輝いているのは丸や川端だけではない。
西武の秋山翔吾は故障からの完全復活を目指す片岡治大の後を打ち、巨人・脇谷亮太はWBCから不振の続く長野久義を援護、楽天では藤田一也が「2番打者」という立場で、好機を「つなぐ」「作る」だけでなく、聖澤諒などを「還す」役目までも果たしている。
開幕3カード目で「2番打者」の役割が従来のものと変化し始めていると結論付けるのは早計に過ぎる。あくまで、現時点で存在が際立っているという程度だ。1番を打つ選手の成績がそれほど芳しくないという現実もある。
だが、丸や川端がそうであるように、1番や他の打順を務めてもおかしくない選手が2番を務めることでチームに活力を与えているケースが今季は目立っている。
今、2番打者が面白い――。
●主な2番打者とその成績(4月7日現在)
丸佳浩 (広島) .438
川端崇義 (オリックス) .304
藤田一也 (楽天) .348
秋山翔吾 (西武) .382
脇谷亮太 (巨人) .314
大和 (阪神) .333