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敗因は“判定”か“元7番ロナウド”か?
因縁対決に敗れたマンU、CLを去る。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byMan Utd via Getty Images
posted2013/03/06 12:10
マンUは、ギグス(右)とラファエウ(左)という右サイドの2人でC・ロナウドを徹底マークしたが、後半24分、一瞬の隙を突かれ、逆転ゴールを許した。
では、退場処分がなければマンUは勝てていたか?
実際はというと、10人になる前のマンUは、前半10分辺りから攻撃の意識を強めながら、守備面でも最大限の努力を続けていた。ロナウドが目立つこともなかった。
だが、退場処分がなければ勝利が濃厚だったとも言い難い。
リードを維持するには、完璧な集中力と連係が90分間要求されると思われたが、細かな綻びは、両軍無得点で終えた前半にも垣間見られたからだ。
ロナウド封じに振り回され続けたマンU守備陣。
ファーガソンは、ラファエウにロナウド注視を命じていた。
監督の指示を忠実に実行していた右SBだが、やや追い過ぎだった感が否めない。例えば、立ち上がり早々の3分、マンUは、相手左SBのファビオ・コエントランに、自陣右サイドをえぐられそうになった。ラファエウがロナウドについて中央に流れたままだったためだ。背後のカバーを任されたギグスは、FK覚悟のファウルでコエントランを止めるしかなかった。その5分後にも、やはりラファエウ不在の右サイドから侵入を許し、ボランチのマイケル・キャリックが、際どくクロスを阻止してCKに逃れている。
ロナウドへのパス供給を含め、中盤の底で攻撃を組み立てるシャビ・アロンソへのプレス役には、ダニー・ウェルベックが抜擢された。初戦では香川が担当し、辛うじて及第点の出来に留まった役割だ。コンディションの差でルーニーを凌ぐことから先発起用されたウェルベックは、攻守が入れ替わる度に中盤まで下がって任務に当たっていたが、戻り切れなかった32分には、アロンソのパスを起点としてイグアインにゴール前に抜けられ、ダビド・デヘアの反応の良さに救われた。
レアルには「必ずマンUから得点できる」という確信があった!?
攻撃面では、前半にCKからCBネマニャ・ビディッチのヘディングがポストを直撃したり、ファンペルシとウェルベックのシュートがディエゴ・ロペスの連続セーブに阻まれる不運があった。しかし、いくつか危ない場面があったにしても、レアルにはマンUの綻びを突いて必ず得点できると確信しているかのように慌てる様子が見られなかった。実際、ハーフタイムを挟んだ後、真っ先にゴールへ迫ったのは、スルーパスに反応したロナウドだった。