セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ついに悪童バロテッリが母国帰還。
モヒカン・トリオが後半戦を席巻す!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/02/05 10:45
ウディネーゼ戦で2得点デビューを飾ったバロテッリ。両手をゆったりと広げ、ふてぶてしくゴールに酔いしれた。
真冬のサンシーロが大きくどよめく。
ミラノ入りしてからわずか4日後、2月3日の第23節ウディネーゼ戦で急遽先発したミランの新FWマリオ・バロテッリは、前半25分に鮮やかな先制点を叩き込むと、後半ロスタイムには決勝PKまで決めて、ド派手な2得点デビュー。2-1で初戦を見事に飾った。
プレミアから帰還したイタリア代表エースの一挙手一投足にスタジアム中が揺れた。ゴールのたびにゆったりと両腕を広げ、不敵にふんぞり返る千両役者ぶり。
試合後、バロテッリは飄々としながら挑発的に語った。
「俺たちこそ最強だ。今季は試合数をこなしてないから、まだ足が重い。トップコンディションになったら、こんなもんじゃすまないぜ」
悪童が、サンシーロへ、セリエAへ帰ってきた――。
幼い頃からずっとバロテッリが憧れていたクラブはミラン。
マンチェスター・Cの問題児FWバロテッリのミラン移籍は、今冬の移籍市場最大級のインパクトをもたらした。背番号45が入ったロッソネーロ(赤・黒)のユニフォームは、1月29日の加入発表後3日間で2千枚以上が売れた。
バロテッリが子どもの頃から応援するクラブこそミラン、という話は、'10年夏まで在籍したインテル時代から有名だった。8歳のときには、ザッケローニ監督の下で勝ち取った16度目のスクデットに喝采を上げた。
インテルでセリエAデビューを果たし3冠を成し遂げても、海を渡りプレミアリーグを制しても、“いつかはミランで”という思いだけは、バロテッリの脳裏から消えることはなかった。
昨年12月の段階で、代理人ミノ・ライオラが「マリオの値段は『モナリザ』と同じ。イタリアに買えるクラブはない」と豪語すると、ミランのオーナーであるベルルスコーニ元首相は「彼は腐ったリンゴ」と放言。ミランの金庫に、マンチェスター・Cが設定していた移籍金3700万ユーロを払える余裕はなく、交渉は成立不可能と思われていた。