セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ついに悪童バロテッリが母国帰還。
モヒカン・トリオが後半戦を席巻す!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/02/05 10:45
ウディネーゼ戦で2得点デビューを飾ったバロテッリ。両手をゆったりと広げ、ふてぶてしくゴールに酔いしれた。
マンCの弱みにつけこみ破格の条件で移籍を実現。
しかし、欧州きっての大物フィクサーであるガッリアーニ副会長は、ライオラと組んでマンC相手に水面下で移籍金の引き下げ作戦を進めていた。
高額の罰金支払いをめぐりバロテッリと法廷闘争中だったマンCの弱みにつけ込む形で放出を決断させると、2000万ユーロの破格値、しかも17年までの分割払いで手を打たせた。
“してやったり”の獲得劇は、今月24・25日に投票されるイタリア共和国議会総選挙に向けた絶好の選挙キャンペーンになった。「上院でも下院でもいいから、バロテッリを立候補させればよかった」と、ベルルスコーニの舌は滑らかになる一方だ。一説によると、オーナー率いる自由人民党の支持率は、バロテッリ獲得によって2%も上昇したらしい。
インテリスタたちの支持率は急降下したが、本人はまったく意に介さない。古巣相手の対戦で、敬意を表するために得点してもパフォーマンスを自粛する選手も多い中、「ダービーでゴールしたら? そりゃ喜ぶに決まってる」と早速入団会見で毒づいた。「ブーイングされても正直どうでもいいね」とふてぶてしくとぼける悪童の獲得は、後半戦のミランに果たして吉と出るのか。
シーズン半ばからグングン調子を上げてきていたミラン。
今季大きく戦力を入れ替えたミランは、序盤こそあわや降格圏という体たらくだったが、第9節以降の14試合を9勝3分2敗のハイペースで勝ち進み、順位をグングン上げてきた。過去数シーズン、ケガに泣かされっぱなしだったFWパトが、この冬ついにコリンチャンスへ旅立ったが、もはや彼の放出を嘆くミラニスタはいない。
23戦15ゴールのFWエルシャーラウィが20歳にして得点王を争えば、18歳の新星ニアンも恐れ知らずの右ウイングとして頭角を現してきている。週末ごとに頼もしさを増してきた若手コンビに、バロテッリという本格派ストライカーが加わったのだから、息を吹き返した指揮官アッレグリが「CL出場権を狙う」と目標を上方修正するのも当然だ。
すぐに意気投合した'90年代生まれの3人は、揃いも揃って“クレスタ”と呼ばれる鶏冠状のモヒカン・ヘッドがトレードマーク。後半戦のミラン逆襲を引っ張るのは、1年前には想像もできなかった“モヒカン・トリオ”だ。